高木さんのコーチングフィロソフィー

第21回 リバウンド(パート2)
<オフェンス編>

 今回はオフェンスのリバウンドについて考えてみましょう。前回も少し触れましてが、指導者の中には試合の結果が出なかった時、「オフェンスのリバウンドが取れなかったから・・」というような言葉が出るときがあります。又、そのリバウンドの大切さを強調する指導者の方もおられます。

 しかし、本当にオフェンスのリバウンドが大切か否か検証して見たいと思います。 まず、下記のスタッツは昨年行われた日本リーグのファイナル、ジャパンエナジー 対 シャンソン化粧品の3試合のものです。

■ ゲーム1 得点 フィールドG(%) OR DR 合計
ジャパンエナジー 68 (28/61)45.9 21 24
シャンソン化粧品 67 (26/51)51.0 26 30
■ゲーム2
ジャパンエナジー 87 (36/77)46.75 14 21 33
シャンソン化粧品 89 (35/61)57.38 28 33
■ゲーム3
ジャパンエナジー 57 (24/64)37.50 10 22 26
シャンソン化粧品 79 (34/62)54.84 31 32
■合計
ジャパンエナジー 212 (88/202)43.56 27 64 83
シャンソン化粧品 235 (95/174)54.60 20 85 95

(合計)の欄を参照してください。このスタッツの見かたは、例えば、シャンソン化粧品のシュート174本の内95本が成功ですから79本のシュートミス。それに対してジャパンエナジーのディフェンスリバウンドが64、シャンソン化粧品のオフェンスリバウンド20、合計のリバウンド数が84本、ということです。但しフィールドゴールのシュートミスの数とリバウンド数が合わないのはフィリースローのリバウンドもこの中に含まれているからです。(何れにしても2〜3本の差なので無視します)
従って、ジャパンエナジーのオフェンスリバウンド奪取率は23.9%。ディフェンスリバウンド奪取率は76.1%となり、シャンソン化粧品のそれはそれぞれ24.1%と75.9%ということになります。シュート回数を無視して、リバウンドの数字だけを比較すればほぼ同率と考えて良いでしょう。
この数字だけではオフェンスのセカンドチャンス(オフェンスリバウンドからの得点)のシュート本数が見えてきませんが、おそらく両チーム共合計で5〜6本程度に思われます。
従って、やはりディフェンスのリバウンドがいかに大切か、と言う数字が出ています。
これは両チーム共ディフェンスのリバウンドに対しては、スクリーンアウトが徹底されており容易にはオフェンスのリバウンドを取ることが出来ない、ということです。
そしてこの両チームのゲームだから言えることは、どちらも速攻が持ち味であるため、無理を押してオフェンリバウンドに入って行ってもし取れなかった場合、アウトレットパスが早く、完全にフロントラインが置き去りにされる危険性があります。
従って、オフェンスのリバウンドに入っても取れないと判断した時は、素早くディフェンスコンバージョンしているのです。

確かにセカンドチャンスでシュートを決めて行くとオフェンスの確立が上がり、相手を苦しめる事になりますが、もともとディフェンスとオフェンスの位置関係からして、ディフェンスのスクリーンアウトがしっかり行われていればいるほどオフェンスのリンバウンドを奪う確立は低くなります。
冒頭で「オフェンスのリバウンドが取れなかったから…」というほど試合を左右するような大きなポイントでは無い、ということが立証されると思います。
但し、圧倒的に力の差があったり、身長差があるような場合にはオフェンスリバウンドが簡単に取れる場合もあります。従って、そういった試合を基準にして「オフェンスリバウンドが…」と考えてしまってはチーム・選手のレベルが上がって行かない、ということです。



しかし、チャンスが少ないからと言って最初から諦めないで、その少ないチャンスを可能性があれば狙って行くは大切です。そこでオフェンスリバウンドに対する考え方を整理して見ましょう。

まず、オフェンスはディフェンスより通常の場合は外側に位置しています(ディフェンスを振りきってカットして行くような場合を除いて)ので、見方のシュートがあった場合、如何に有利なポジションを取るかということになります。細かい技術的な事は後にするとして、少なくともフロントライン(センター、フォワード)は図1のようにトライアングルを作ります。更にセカンドガード(比較的大型のガード)はレーンエリアの外側に落ちてくるロングリバウンドを狙います。ポイントガードは相手の速攻に備えてハーフラインあたりまで戻り状況を見ます(完全にセーフティー)。そしてフロントライン、セカンドガードはリバウンドチャンスが無いと判断した場合は、一目散に自陣のフリースローレーンまで戻り、自分のマークマン(マンツーマンの場合)をピックアップします。繰り返しますが、オフェンスからディフェンスに切り替わった場合は、簡単に相手に速攻を出させないことが最も大きなポイントです。

次回はオフェンスリバウンドのテクニックについて考えてみましょう。

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