2009.10.10

【FIBAアジア2009】イランの強さの背景

 イラン代表マティッチHCのインタビューの中から強化に関する部分を抜粋。(「アジア王者からの苦言」〈1〉〈2〉とあわせて読んでください)


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■投資と努力によってのみ、結果が得られる

――優勝までの道のりで大変だったことは何ですか?

 ジョーンズカップからケガ人が多かったので、たくさんの選手をエントリーさせて調整してきた。また6番の選手がビザの関係で予選リーグのチャイニーズ・タイペイ戦は出ることができなかった。ジョーンズカップからアジア選手権までは、東アジアのように近い国だったら台湾から戻って調整ができるだろうが、我々は遠くて自国に帰って調整することもできなかった。そんな中でタフに戦ったと思う。

――イラン代表チームを指導するにあたり、心がけていることは何ですか?

 私が常にミーティングで伝えているのはこの4つ。
①チームワーク 
②毎日成長すること、試合ごとに何かを得ること 
③成長したことを試合に生かしていくこと 
④選手間でリスペクトしあい、正直で誠実であること

――イランの高いチームクオリティは何によって作られたのですか?

 イランのスタイルは前ヘッドコーチのライコ・トローマンから私に続いている「セルビアのバスケットボール」からきている。昨年のオリンピックまでにイタリア、スロベニア、セルビア、クロアチア、NBAサマーリーグ、オーストラリア、FIBAダイアモンドボールなどで30ゲーム以上の国際試合を行い、そしてオリンピックでも経験を積んだ。国際試合をしていく中で確実にイランのバスケットボールは形成されていった。

 現在、イランにはジュニアのコーチを含めると、4人のセルビア人コーチがいる。前ヘッドコーチを含めると5人のセルビア人コーチによって、イランのバスケットボールが形成されているといっていい。セルビアのスタイルは世界でもっともポピュラーであり、イランがセルビアのバスケットボールをチョイスしたのは正しい選択だった。短期間でアジアの頂点に立てたこと、アジアで2連覇したことが、そのことを証明している。

――近年はアジアで中近東勢が台等し、そしてついにイランが中国A代表を破って2連覇を果たしました。イランが真のアジアチャンピオンになったことがもたらす意味は?

 今大会イランがアジアで優勝した意味は大きい。イラン代表はイラン人のみで構成されていて、自国の選手を育成していくことに力を入れている。それが正しいやり方だと思う。イランはプロリーグが盛んで、多くの外国人選手と対戦することで国内の選手が上達してきたのだ。レバノンやヨルダンはたくさんの帰化選手を入れて強化をしている。これがいいか悪いかは別として、結果を残した国は何かしら投資をしている。努力をしたからこそ、ここまでの結果が残せた。投資と努力によってのみ、結果が得られる。


■ヴァセリン・マティッチ Veselin Matić

1960年生まれ。国籍はセルビア。1998年、ユーゴスラビア代表にてスカウト担当。2002年の世界選手権ではユーゴスラビア代表のアシスタントコーチを務める。ユーゴスラビア、ポーランド、ドイツ、エストニア、レバノンのクラブチームでヘッドコーチを務め、エストニアでは優勝経験あり。2006年にはポーランド代表のヘッドコーチを務める。2009年イラン代表のヘッドコーチに就任し、アジアチャンピオンへと導く。


………


 イランのバスケットボールを築き上げたマティッチ&トローマンHCはセルビア(ユーゴスラビア)国籍。先日終わったユーロバスケ@ポーランド(ヨーロッパ選手権)はスペインの優勝で幕を閉じ、準優勝となったのは若いセルビアだった。 

 セルビアは、2003年U16 、2005年U 18 、2007年U 20、各年代別のヨーロッパ選手権で優勝している。これらを達成した1987年前後生まれの選手は「セルビアの黄金世代」といえる存在であり、今年のヨーロッパ選手権でもテオドシッチ、テピッチらが台頭。2002年にユーゴスラビアとして世界選手権で優勝して以降、低迷していたセルビアのバスケットボールが再び復活した。

「セルビアのスタイルは世界でもっともポピュラーであり…」とマティッチHCは言っていたが、セルビア人コーチたちは、どのようにしてイランにセルビア式をもたらしたのだろうか。アジア選手権の取材だけではとても解明できないが、とても興味のあるコメントだった。

 ちなみに、イランはハッダディを擁して2002年のアジアジュニア(U18)を制覇しているが、イランにはこの世代に有望な選手が多いという。「今大会には出ていないが、国に戻れば84~86年生まれに優秀な選手がもっといるので強化したい」とマティッチHCはFIBAの取材に答えていた。


Posted by yota at 23:38  FIBAアジア選手権