2009.09.16

【FIBAアジア2009】中東の躍進〈3〉

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準決勝、イラン×ヨルダン試合後の記者会見より。
イランのマティッチHC(左)とヨルダンのパルマHC(右)
記者会見終了後に席を去るとき、お互いに目も合わさずに健闘をたたえあうポーズを見せた


■アジアを成長させた3人のコーチ

 記者会見で堂々と批判を繰り広げるなど異彩を放ち、犬猿の仲のイランとヨルダンの指揮官だが、チーム作りにおいては、これまでのアジアにはない組織力の際立ったチームを作った知将といえる。
 
 イランは前ヘッドコーチのライコ・トローマンとマティッチHCの母国であるセルビアのバスケットボールを取り入れ、ポルトガル人のパルマHCはアンゴラをアフリカ選手権で4度のチャンピオンに導いた手腕で、ヨルダンを強化した(クラブチャンピオンシップを含めるとアンゴラを7度のアフリカ王者に導いているという)。チームを築く術を知っているのだ。

 これまでアジアの中で組織的(+個人技)といえば、韓国が代表的なチームだった。韓国の「パッシングとチェンジング・ディフェンス」はアジアの中では伝統的で独特なカラーを放っているが、イランやヨルダンのバスケットは、今までのアジアにはない、ヨーロッパに近い組織的なスタイルを感じる。

 イランは全体的な高さがあり、セットプレイとアーリーオフェンスを使い分けるうまさがある。ヨルダンは高さはないが、ガード陣のドライブが起点となり、チームがタフにパワフルに戦う泥臭さがある(コーチのカラーなのか、アンゴラに似てますね)。両者に言えることはディフェンスがとてもアグレッシプ。

 今大会、上背に劣るヨルダンが中国に接戦したり、イランが大勝した理由には「チームの成熟度」に大きな差があった。イランとヨルダンからは、もう何年もこのチームでプレイしているような気心知れたチームプレイと絆があった。
 コートで戦う選手たちからは「絶対に世界選手権に出るんだ!」「自分たちの国のバスケットボールを世界で見せたい!」という気迫にあふれていた。
 

 そして、イランとヨルダン両指揮官の素晴らしい点は、結果を出したことだけじゃない。徳島大会を含めたここまでの3年間で、計画的に、継続的に、これまでの経験に基づいた哲学を貫き通してチーム作りを進めてきた“強い信念”にある。

 世界選手権の出場を決めた3位決定戦のあと、 ヨルダンのマリオ・パルマHCはこう言った。

「私がヨルダンのヘッドコーチに就任したとき、誰も世界選手権に行けるチームになるとは思っていなかった。ただ世界で私一人だけが、その可能性を信じていた」


 アジアをもっと知りたいと思えば、常に研究をする。それはライバルに対して手の内を隠すのではなく、ジョーンズカップのような前哨戦でも、色々と試しながらも自分たちをさらけ出し、本気に勝ちに行き、勝ちパータンをしっかりと叩き込む。なおかつ、本番ではその上をいく内容にチャレンジしている。そのために、いつでもヘッドコーチみずからがライバル国の試合を見て、スカウティングをして「今」を肌で感じている。これらは群雄割拠のヨーロッパの中では当たり前の強化方法なのだろう。

 また、彼らは惜しげもなく、バスケットボール後進国のアジアに対して、多くの助言をしてくれている。
国際大会の記者会見やミックスゾーンでは質問時間や内容は限られる。そんな時間のない中で日本の一記者がいきなり「どうやってチームを改革してきたのか?」「あなたのチーム作りのモットーは?」と核心を突いた質問をストレートにぶつけたとしても、誠実に答えてくれる。それも即答で。信頼関係のない記者の質問に対しては適当に流されることが多々あるだけに、これは、ものすごくありがたいことだと感じている。


  ここ数年の急激なアジアの流れを“先頭に立って”作り出したのは他でもない、イランやヨルダンのコーチ陣だ。

 
 イランの前ヘッドコーチ、ライコ・トローマン氏を含め、マティッチ、パルマHCと、3人とも強烈でクセも人一倍。しかし、その強烈な個性さえも、チームを形成していく熱意として成立している。イランとヨルダンの“熱”がこもった試合を見ていれば、選手たちにヘッドコーチの信念が伝わっていることがよくわかる。
 イランとヨルダンの強烈でクセのある3人のコーチたちが、アジアバスケットボール界に大いなる刺激をもたらしてくれたといえよう。


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やはり、アジア選手権を観戦しに来ていた
前イランHCであり、現在フィリピンBチームのライコ・トローマン


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お互いに敵対心を持っていたマティッチとパルマHCだったが
(どちらかといえば、ヨルダンのパルマHCが敵対心を抱いているように感じる)
イランが決勝で中国を倒すと、パルマHCはマティッチHCに祝福しに行った(写真中央)。
お互い世界選手権に出場するし、対決にも決着がついたということで、休戦といったところか。
チーム作りの手腕については、互いに認め合っているのだ


Posted by yota at 03:08  FIBAアジア選手権