2009.09.29

【FIBAアジア2009】女子アジアの2強・中国&韓国

 北京オリンピックから1年――。北京では中国も韓国もベストなチームで臨み、結果を出した。それだけに、今年どのようなチームでアジアに臨むのか、ものすごく興味があった。特に中国は前回のアジア選手権は1・5軍チームだったので。韓国はオリンピックと変わらず成熟したチーム。中国は若手が出てきたという印象だった。


■中国■
北京五輪後の新しい中国

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▲北京五輪で堂々のベスト4入りを達成した中国
今大会は北京五輪から6名選出(写真は北京五輪より)


 北京オリンピックの時とは一味違うチームだった。

 まず北京五輪まではオーストラリアの名将トム・マー氏(現在イギリス女子代表HC)がヘッドコーチを務め、#8ミャオ・リージェ(178㎝、28歳/北京五輪得点王、06年世バス得点4位)と#15チェン・ナン(195㎝、26歳/北京五輪得点5位、06年世バス得点7位)、今大会は出場していないスイ・フェイフェイ(183㎝、31歳/元WNBAサクラメント)の3人柱を軸に、スペイン、ニュージーランド、マリ、チェコに勝ってグループ2位で予選リーグ突破。準々決勝でベラルーシに勝利してベスト4入りを決めた。準決勝でオーストラリアに完敗、ロシアとの3決にも敗れたが、地元開催でベスト4の成績は堂々たるもの。

 3本柱を擁していながらも、全員が攻め、全員で徹底的に守る“手堅い”プレイは、マーHCが好むチームを強調した戦い方であり、この点がベスト4入りできた要因だと思う。

 今大会はヘッドコーチが変わったせいなのか、チームプレイより個人能力が目立つチームになっていた。特に#5ビェン・ラン(185㎝、23歳)、#11マー・ツェンユー(183㎝、26歳)、#12チェン・シャオリー(193㎝、27歳)、#13リュウ・タン(194cm、22歳)らが台頭して得点も分散。北京五輪得点王のミャオ・リージェが影で支えている感じに見えたほどだ。

 大会を通しては若手を使いながら調整していたようでピリッとしない試合もあったが、決勝でのランニングプレイからの躍動感あふれる“本気”バスケットは、オリンピック後の新しい中国を見た気がした。

 といっても、北京五輪の時もそこまでベテランチームだったわけじゃない。メンバーは北京オリンピックから6名変更。主力で抜けたのは31歳のスイ・フェイフェイと、PGを務めたソン・シャオユン(26歳)。そのPGも今大会大活躍だった#5ビェン・ランと2ガードで回していた印象。

 今回のヘッドコーチは2年前のインチョン大会時の中国人HCスン・フェンウー氏で、当時「1・5軍」を率いて育成していたコーチ。今大会は北京五輪に出ていた数名の若手を外し、196㎝のセンター#9クァン・シン(22歳)ら、インチョン大会のメンバーが4人加わっている。北京五輪に出ていた若手が選ばれていないのだから、層の厚さがうかがえるというもの。もしかしたら、インチョン大会からスンHCが育成してきた選手を使いたかったのかもしれないし、好みの問題もあるかもしれないけれど。

 それにしても、PG#5ビェン・ランの決勝でのパワフルな攻防は圧巻だった。若手の頃から一際目を引く選手で、北京五輪でもアウトサイドのキーマンだったけど、今大会で名実ともに中国の司令塔となった。アジアに久々に現れた大物ではないだろうか。

 日本にとって厄介だなと思うのは、中国には180~190㎝台のガタイがいい大型フォワードが揃っていること。いっそのこと、長身センターでいいから脚力がないほうがいい。動けてパワフルな190㎝台と対戦することほど、厄介なことはない。


■韓国■
成熟したベテランチームで勝負

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▲ベスト8だった北京五輪から今大会は8名が選出された(写真は北京五輪より)


 熟成したベテランメンバーが揃う韓国。司令塔#5イ・ミソン(174㎝、30歳)、シューターの#8ピョン・ヨナ(※180㎝、29歳)、大ベテラン#9チョン・ソンミン(今年35歳、185㎝)、貴重なつなぎ役#10チン・ミジョン(173㎝、31歳)、仕事人シューター#11パク・ジョンウン(180㎝、32歳)、2メートルセンター#12ハ・ウンジュ(200㎝、26歳)、若手のホープ#13キム・ジョンウン(180㎝、22歳)、パワフルプレイヤー#14キム・ゲリョン(192㎝、今年30歳)ら北京五輪から8人が健在だ。
(ハ・ウンジュは北京五輪ではメンバーに選ばれていたが、膝を痛めていて出場していない)

 北京五輪でイ・ミソンとメインでPGを張っていたチェ・ユナ(172㎝、23歳)が今大会はケガのため出ていない。チェ・ユナは昨年度WKBL優勝チーム・新韓銀行の司令塔でMVP。ベテランが多い韓国の中では若手の主軸なので、今大会不在だったのはキツかったはず。

 それでも、2年前のインチョン大会で日本がやられときと同じように、パク・ジョンウンがシューターを兼ねながらPGもこなしてしまうので、ガードの層は問題なしか。中国のビェン・ランにしても状況に応じて1、2番を併用できるし、こういう器用さが中国と韓国の対応力あるゆえんだと思う。

 今大会、韓国がいちばん組み合わせが厳しかった。休養日のあとは日本、中国(予選リーグ)、日本(準決勝)、中国(決勝)のガチンコ4連戦。予選リーグ日本戦の終盤にも疲労が見えたし、ガチンコ決戦だった中国戦は逆転負け(大激戦&超見応えある試合だったとか)。疲労の影響が出れば、準決・日本戦でそこを突けるのではと思ったが………。

 勝負がかかった時の韓国の集中力ほど、日本にとって恐ろしいものはない。疲労が溜まっているからこそ、準決勝で決着をつけたいといえるスタートダッシュ。日本は韓国本来のスクリーンからのパッシングに翻弄された。日本がダメダメすぎたとはいえ、圧巻で美しいシューティングバスケ。ハ・ウンジュが出なくとも、この身長で世界に通用するのだから、韓国からは常に学ぶことばかりだ。
  
  そんな熟成度を誇る韓国も、ガチンコ4連戦目の決勝では足が動かなかった。

 韓国が北京五輪で予選リーグを突破できたのは、1日おきに試合が行われ、照準を合わせた戦い方ができたからだ。標的としたのはブラジル、ベラルーシ、ラトビア。あのベテラン揃いの韓国が体力を消耗するオールコートプレスとマッチアップゾーンの併用で勝負を仕掛けたのだ。ベラルーシには負けたが、ブラジルとラトビアに勝ち、グループ4位で決勝トーナメント進出。狙いを定めた試合に勝つ集中力は、さすが年の功だと感心させられた。今大会、狙い定めた試合は準決勝の日本戦で、その集中力の前に日本はコテンパンにやられてしまった。

 ただ、今大会で最大の課題である世代交代を浮き彫りにしたことは確か。若手で計算できるのが#13キム・ジョンウンと今大会は出ていないチェ・ユナくらい。体が万全であれば#12ハ・ウンジュも加わるが。現在の韓国はU20~18世代の層も薄い。数年後のチーム構成は相当厳しくなるのではないだろうか。来年の世界選手権まではこの成熟メンバーを引っ張るのだろうか? とても興味がある。

………

【※】#8ピョン・ヨナ選手の名前について

英字では「Yeon-HA BEON」と表記されるため「ピョン・ヨンハ」とアナウンスされていますが、韓国語の読み方は「ピョン・ヨナ」になります。

これはハングル文字で名前を表記すると「ヨナ」の部分が連音化(リエゾン)されるため。リエゾンとは「子音で終わる単語の子音が母音で始まる次の単語に影響を与える現象」のことを言います。たとえば、WKBLの強豪・新韓銀行は英字表記にすると「SHINHAN BANK」ですが、ハングル読みだとリエゾン化されて「シンハン」ではなくて「シナン」になります。


Posted by yota at 22:01  FIBAアジア選手権