2009.08.28

【FIBAアジア2009】アジア王者からの苦言〈1〉

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イランHCヴァセラン・マティッチ(右)とイランのキャプテン#14ニックハ・バハラミ
(写真は準々決勝後の記者会見より)


 イランの優勝で幕を閉じたアジア選手権。イランは個々の能力の高さに加えて組織的な戦略があり、徳島大会よりもチームが成熟していた。決勝では72-50で中国を完膚なきまでに叩きのめした。イランを成熟させたのは、今年からヘッドコーチに就任したヴァセラン・マティッチHC。彼は優勝後の記者会見で中国バスケット界と中国メディアに苦言を呈した。

 今大会の中国メディアは、「アジア王者になるのは中国だ」といわんばかりに、準決勝までは勝ち誇った顔をして記者会見場では幅を効かせていた。しかし、決勝後の記者会見。一人の中国人記者がイランHCに「決勝での対策は?」と質問をしたことから、イランのHCマティッチは王者の威厳からなのか、中国人を調教したかったのか、スイッチが入ってしまい、歯に衣着せぬトークで中国メディアを黙らせてしまったのだ。その様は圧巻だった。

 その優勝記者会見を一部抜粋して紹介。


――決勝におけるイランの内容はどうだったか?

「私たちは予選リーグからやるべきことは決まっていて、ファイナルだからといって特別なことをしたわけじゃない。だけど、中国は何もしてこなかった。中国がゾーンをしてもうちはすぐにスコアすることができたし、流れをキープすることができた。それは今まで練習してきたことをやってきただけ。特別な対策などしていない。何もしなかったのは中国だ。私たちは昨日の準決勝のヨルダン戦はタフなゲームだったけど、今日の決勝はイージーだった。スコアリーダーたちが良くやってくれたからね」

――決勝での対策は?

「3つある。1つは昨日の中国とレバノンの準決勝を見たあと、敗れたレバノンのHCと話しをさせてもらい、その感触から今日の作戦を練った。といっても、普段私たちがやってきたことを再確認しただけだが。

2つ目は中国戦のスタッツをすべて分析した。数学は正確でスタッツを分析することで相手のことがわかる一番簡単な方法だからね。そのデータをもとに、オフェンスでもディフェンスでも選手をどう動かせばいいか研究をした。

3つ目は、以前に中国代表のキャンプを見たことがあるのだが、練習のしかたに問題があると感じた。その時の中国は軍隊のような厳しい練習をしていて選手に自由がなく、選手に自由にプレイさせるのが下手だと感じた。そういったことを考慮して、私たちは私たちらしく戦った。
(※いつのキャンプを見たのかは不明。ちなみに05年から北京五輪まではリトアニア人のカズラウスカス氏が中国A代表のHC。現在は中国人がHCをしていることから、参考にしたのは中国人HCの時代だと思われる)

また、中国のメディアは報道のしかたを考えるべきだろう。中国にはヤオ・ミンのような大スターやNBAプレイヤーが数人いて、彼らのことを「中国の選手はこんなにもすごい」とか大々的な報道をするが、それが逆効果になっているのではないか。

その大スターたちが大々的に報道されていることにプレッシャーを感じ「シュートを落としたらどうしよう、ミステイクをしたらどうしよう」とプレッシャーがかかったプレイをしているようだ。それが私たちの国と中国の違うところだ。

ハードワークなことはいいことだとは思う。しかし、頑張ることだけで解決しようとしていて、国民の期待が選手のプレッシャーになっている。彼らの軍隊式の指導は1回のミスで選手を縛り付け、交代する。そして、しまいにはプレッシャーばかりの選手になってしまう。それが、今大会中国が犯したミステイクだろう」

(まだまだトークは炸裂する)

「たとえば、大会中にこんなことがあった。中国は1次リーグでインドと対戦したが、インドは人口10億だけどバスケ人口は500~1000人しかいない(注:そんな少ないわけはないが、言ったままに訳しています)。そんな国と試合をしたって中国が大勝するに決まっているのに、インド相手に60点差で勝ったような試合(実際のスコアは121-49)を何度も何度もテレビ放映し、また北京オリンピックではドイツに勝って決勝トーナメントに進んだ場面を何度も何度も放映し「私たちの英雄はこんなにも強い」というのを国民に見せつけていた。

しかし、今回アジアで接戦したレバノンやヨルダン戦のことは一切話題にしない。インド戦のような試合ばかり放映することは「我々の代表はこんなにも強い」「大差をつけなきゃいけない」のだと、メディアが国民や中国代表に言っているようなものだ。そういうプレッシャーを与えるのはよくない。私は中国に勝てたことはうれしいし、中国のことを悪く言うことはしたくないんだけれども」


まだまだ続く。


Posted by yota at 01:03  FIBAアジア選手権