2007.07.27
開幕前夜
男子FIBAアジア選手権展望
世界選手権を経験した選手たちからは「昨年よりもチームのバランスがいい」との言葉が飛び出し、ヘッドコーチからは「ベストコンディションで臨める」と、チーム作りの順調さをうかがわせるコメント。確かに、今大会は経験あるベテランに伸び盛りの若手、身体能力ある選手にクレバーな選手と、過去最高の選手層がそろった。
バランスアップした要因は、何といってもインサイドの攻撃力アップ。昨年はディフェンスを徹底していた分、オフェンスはアウトサイドからの攻めしかなかったが、今年は「青野とJRを起点にできることで“インサイドアウト”ができる」(折茂)と、内外角の攻めにバリエーションが増えている。さらには、世界選手権での苦い経験からか、(数少ない)公開練習を見ていてもミスを恐れずに向かう姿勢が出ている。特に昨シーズンのJBLでグンと成長した桜井、川村といった若い世代の思い切りの良さが目立つ。
「コントロールをしたい時は佐古。スピードでかき回したい時は柏木、五十嵐といったタイプの違うガードをうまく使いたい。インサイドもアウトサイドも3Pも、速攻もハーフコートもあるチームになった」と鈴木ヘッドコーチ。大会を前にして戦うスタイルが定まり、チームの中には「いいイメージ」が出来上がっているようだ。
だが、大会前の親善試合や公開練習で仕上がりを披露していないこともあり、現段階ではこのチームを評価することは非常に難しい。
アジアを勝ち抜いていくのは簡単なことではない。アジアと一言にいっても、中国、韓国、タイペイを中心とする緻密な攻防を展開する東アジア。カタール、レバノン、イラン、ヨルダンといったフィジカルの強い中東勢。アジア大会では負けているカザフスタンなど、それぞれにスタイルが異なり、試合ごとに対応していかなければならない厄介さがある。しかも1次・2次リーグは“死の6連戦”が待ち構えている。
連戦を戦い抜くスタミナ面については心配な面もある。今年は一週間のうち4日練習して3日休養する強化方針。ヨーロッパでフィジカル・トレーニングを積んだうえに、5日練習して2日休養だった昨年から比べると練習量が減っている。昨年12月のアジア大会では、アクシデントにより10人で戦ったせいもあるが、大会が進むごとに尻すぼみになっていったことから、スタミナ面こそが一番の課題に見えた。もちろん、休養の3日を丸々休んでいる選手などいなくて、自チームで練習したり、走り込みやウエイトトレーニングをしたり、「各自に任された自主練で調整しているので問題ない」(桜井)と選手たちは言うが…。それでも、12月のアジア大会で見たスタミナ面の懸念は消えることはない。日本で試合などして仕上がり具合を見てないこともそう思わせる一因になっている。
6連戦の戦い方について鈴木ヘッドコーチは「対戦相手と状況によって、12人をうまく使っていく」と展望を述べる。そういった意味からも、今大会のカギとなるのは、いかにタイプの違う相手に「対応できるか」であり、やってきた「約束事が徹底」できているか。そこにかかっている。スタミナ面についても全員で補っていくことになる。鈴木ヘッドコーチの選手起用、そして、世界選手権で足りなかった「最後は自分が攻める」という姿勢を期待したい。
大会のエントリー締切は開幕24時間前。中国がBチームでくることは以前から発表されていたことだが(Aチームは別日程で強化中なので)、オープニング・セレモニーを見て、本当に若いBチームが来日したのだと確認することができた。女子のアジア選手権もそうだったが、Bチームとはいえ、ポテンシャルの高い中国。中国の勝ち上がり方は大会を大きく左右することになるだろう。また、ジョーンズカップから多少メンバーを変更したチームもあり、1次リーグから各国とも探り合いの連続となりそうだ。
昨年末のアジア大会をふまえ、アジアの実力は中国をのぞいて9チーム(日本、韓国、カタール、レバノン、ヨルダン、イラン、チャイニーズ・タイペイ、カザフスタン)が横一戦と言われている。その勢力図はどう変わってきたのか。試合を見ながら、各国の様子や日本の戦いぶりを紹介していきたい。
……………
結局、理事会執行部と評議員による評議員会は流会になったまま、今大会を迎えることになった。執行部も評議員も日本のバスケットボール界のトップに立つ人たち。本意ではないにしろ、バスケットボール界をここまで混乱させているという意味では、どちらの罪も重い。世界選手権のホスト国として戦った今、行われるべきは権力争いではなく、強化であるべき。結局、世界選手権後、何の総括(強化と大会運営について)もないままに、今大会を迎えてしまったことが残念でならない。
だが、それでも戦いは始まる。「五輪出場」という目指すべきものも明確にある。選手、チーム、現場には、やってきたことを発揮してほしいと願うばかりだ。今大会の取材としては、単に日本の実力を計るだけでなく、アジア各国の競技力(実力や強化方針、バスケットスタイル等)を伝えていきたい。そこから日本のバスケットボール界の在り方も見えるはず。メディア側から発信していける総括は、こういった部分にもあると思っている。





