2007.05.21
女子代表、見えてきたチームの形

アジア選手権兼オリンピック予選に向けて急ピッチでチームを仕上げている女子代表。4月30日~5月14日までのオセアニア遠征のレポートをお届けします。大会まであと2週間!!!
女子代表は昨年度から内海知秀HCが就任し、チームを一新した。昨年1年間活動して土台を作り(スペイン遠征~ジョーンズカップ~アジア大会)、アジア大会で銅メダルを獲得したメンバーが主体とはいえ、三谷、矢代ら新メンバーを加えて、結成からわずか2か月で決戦に挑まなくてはならない。どの程度までチームが仕上がるのか蓋を開けてみなければわからなかったが、オセアニア遠征では試合をこなすごとに、急速にチームの形が出来ていくのがわかった。
【試合の様子】
取材したのはオーストラリアでの一週間。AIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)と2試合、オーストラリアU-21代表と4試合。AISとはオーストラリア政府が1981年に設立した「U-19までのエリートアスリート育成機関」(※のちに詳しく紹介します)。シュート力は日本のほうが上だが、AISは組織力と190㎝台を擁する高さがある。この高さに苦戦して1戦目は59―66で完敗だった。2戦目にはディフェンスを修正して78-73で逆転勝利。粘り勝ちを収めたことで、このあたりから日本の戦うスタイルが見えてきた。
オーストラリアU-21代表は6月のヤングウーメン世界選手権に出場するチーム。AISと同じくらいの高さがあるが、結成して間もないせいかプレイが雑であり、実力的には日本のほうが断然上。1、2戦目は72-52、78-66で勝利したが、入れるべきシュートを入れていれば、80点台のスコアで勝っていただろうから、70点台のスコアなはやや物足りなさを感じた。3戦目は控え選手が機能してきたこともあり、95-60で突き放すことができた。ラストの4戦目は内海HCが我慢をした試合。競った大事な場面で控え選手に勝負を挑ませた。結果、73-70の3点差で逃げ切った。これにより、チーム全体に勝負感覚をうえつけることができたのは大きい。
【収穫】
●チームの戦うスタイルができた
●控え選手の層が厚くなった
●遠征を通してチームの絆ができた
●大神のゲームメイクにメリハリがあった(人を使うところ、自分で行くところの判断)
●新メンバーの三谷と矢代が急速にチームに馴染んだ
●榊原が疲労骨折より復帰してゲーム感覚を取り戻し、長い時間走れるようになった
●6番手が確立できた。アウトサイドならば内海、インサイドならば矢代。内海は交代してすぐにシュートを入れる度胸の良さがあり、矢代はオフェンスリバウンドに絡むのでチームに勢いが出る
遠征での最大の収穫は、戦うスタイルができたこと。この遠征では高さあるチームとの対戦だったので、インサイドはそれほど機能しなかった。山田もその点は工夫していたが、第一にディフェンスとスクリーンに徹した。スクリーンからシュートチャンスを作り出し、榊原、三谷、渡辺の3Pへとつなげていく。これがよく決まった。特に、新しく入った三谷の順応性の高さには驚いた。もともとシュートのうまい選手だが、ゲーム感に優れているのだろう。流れの中で、2点でも3点でも取るべきところで取る力を発揮した。
そして司令塔の大神。周りを使うところと、自分でいくところの判断が良かった。その中でもアーリーオフェンスからジャンプシュートを決める彼女の一番得意なプレイがよく出ていた。大神がメインガードになったのは2年前の東アジア大会(マカオ)から。大会を重ねるごとに、司令塔としての責任感が出てきている。間違いなく今は大神のチームだと言える。
この遠征は格下が相手だったので、9勝1敗という成績は当たり前だと見る。そんな中での収穫は勝敗のみならず、榊原、三谷、渡辺の外角3人を主体とした得点パターンが確立したこと。勝つことによりチームに勢いや結束力が出てきた点は非常に良かった。

スタメンは大神、榊原、渡辺、三谷、山田。6番手は内海、矢代

セカンドメンバーたちも遠征の終盤には持ち味を発揮
【今後の課題&問題点】
●国際大会でのキャリア不足(窮地を乗り越えることに対しての経験不足)
●勝負所でもっと走る展開がほしい。ウイングの走力がもう一歩足りない
●高さに対してのリバウンド、インサイドの駆け引きが弱い
●チームのムードはいいが、チーム内の競争が少なくみんなが優しい
次に課題と問題点。この遠征では勝利が先行していたので、逆に課題が課題として見えなくなっていたことが欠点か(まずは勝ち方を覚えることが先決だから、それは致し方ない)。そんな中でも上記の点が気になった。
今回の遠征で対戦したチームより、ライバルとなる韓国とチャイニーズ・タイペイのほうがレベルは上。本当は本番までに、もっと強い相手に挑み、窮地を切り抜ける経験を積んでおきたかったところだが……そこまでやり込むには2か月という時間はあまりにも短い。そこがこのチームのネックなのだが、時間の短さを補うだけの集中力が今のチームにはあるので、課題や修正点はオセアニア遠征から帰国し、大会までの3週間で仕上げてほしい。それこそ急ピッチに!
国際大会の経験値については今さら急に経験を積むこともできないので、逆に勢いで“爆発”する選手の出現を望む。この戦い方は希望的なもので計算はできないが、まだまだ十分な伸びしろがあるチームなので、構えた戦い方などせず、思い切りのいい展開をしてほしい。
水曜日はニュージーランド代表との壮行試合。勝って気持ちよく本番に臨みたい。





