2006.11.28

アジア大会@ドーハを戦う意味

アジア大会を控えた男女代表チームの取材をしたが、あまりにも短い合宿だったので、やろうとしていることは理解できたが、チームの仕上がりなどはまだ分からなかった。結果を待つファンとしても、どんな目的でアジア大会に臨むのか見えてこない部分も多いのでは。たった数日の取材だったけれど、見えてきたものを書き出してみる。

男女ともに言えることは、短期間の合宿で臨むアジア大会は、コミュニケーションを図ること、チームの呼吸を合わせることを最優先としていて、緊張感というよりは明るいムードの中で練習をしていたということ。過去にもリーグを中断したり、リーグ直前だったアジア大会や東アジア大会の前はそんな雰囲気だった。もちろん、勝負として挑む2年に一度のアジア選手権前は時間をかけてチームを作るし、もっと追い込まれた緊張感がある。

男子の合宿では、ジェリコの練習を見慣れた人にとってはカルチャーショックを受けた人が多かったようだ。公開練習を見に行った人からは「選手が笑っていて、大会前の雰囲気ではなかった」と言った人もいれば、「選手の笑顔を見て、当たり前のことかもしれないけれど、みんなバスケが好きなんだと思った」という意見もあった。確かに雰囲気はジェリコのときとは全然違い、切迫した雰囲気ではなかったけれど、でも、なんていうか、各自が自分自身を出そうとしていたのは伝わってきた。

この大会の位置づけとしては、男子代表の貴美一HCが「今回は優勝を狙うが、来年の北京五輪に向けた戦力の見極めも大事。大会後にメンバーを見直すこともある」と言えば、女子代表の内海HCも「アテネからは相当メンバーが変わった。このメンバーがこれから日本のバスケットボールを継承していく。それには、今このチームでしっかりしたものを作らないと次がないと思っている。そういう意味ではメダルを狙っていきたい」と語っている。

つまり、男女とも「北京五輪を見据えて強化をしながら、結果を残したい」と、やることがいっぱいの大会というわけだ。その中で特に感じるのが、「結果を残したい」という思い。というのも、来年にはアジアから中国以外が出場できるまたとないチャンスの五輪予選を控えているわけで、実際に戦う選手やヘッドコーチとしては確実な「自信」や「手ごたえ」が欲しいのだ。上につながらない大会だからといって「経験を積めばいい」だけだなんて、これっぽっちも思ってない。やっぱり、大会に出るからには勝ちたいのだと、強く感じた。

ヘッドコーチ就任記者会見の時に貴美一氏が「限られた時間の中で結果を残すためにこのメンバーになった」と言っていたように、今回はアジア大会で結果を残すための選出。「結果を出してほしい」というのが協会の方針なのだから、その方針に従ってトップリーグのJBLスーパーリーグで結果を残しているメンバーが選ばれたのは当然のこと。そのことに関してブレはない。

ただ、個人的な意見としては、自国で世界選手権を開催した男子の場合は、一刻も早く世界選手権で得たものを生かして明確な「短期」「中期」「長期」展望を立ててほしいと願う。このアジア大会は、いつの間にか北京五輪を目指した上で結果を出すという「短期強化」にすり替わっているが、本来ならば、ジェリコジャパンの時から継続された「中期強化」の一貫でなければならなかったはず。ならばその一方で、若手育成に力を入れた「長期強化」プロジェクトを今すぐ立ち上げなくては、さらに遅れを取ってしまうのでは。

そして何よりも世界選手権の総括をやってほしい。ジェリコの4年間は何だったのか? 世界選手権に向けた強化をしたことによって何が得られて、今後はどのように強化していくのか。貴美一HC就任会見の時に少し述べていたが、そんな生ぬるいものではなくて、もっと明確なビジョンで総括と展望をしてもらいたい。大会のたびにやることが変わっていては、また元の日本に戻ってしまう。ジェリコの指導がすべてだったとは思わないが、スタートラインに立てたと思っていた世界選手権をなかったことだけには、したくないのだ。

……と、言いたいことは山のようにあるし、上で述べたことは女子にも言えることでもあって…。今は大会は目前に迫っているわけで、この大会をどう戦うか、どうチームを作っていくか、そのことを見ていくしかない。貴美一HCは「大会後にメンバーを見直すこともありうる」とキッパリ言ったし、女子も五輪予選に向けてはメンバーの入れ替えがあるだろう。アジア大会を戦うことで見えてくるものはたくさんあるはず。今は、最低限の環境の中で、望まれる結果を出そうとしている代表チームにエールを送りたい。

アジア大会はとっても興味深いものになった。


Posted by yota at 13:35  日本代表