2006.09.02
波乱、ではない勝利
「バスケットボールを好きで良かった!」
ギリシャvsアメリカ、スペインvsアルゼンチンのセミファイナル。死闘を繰り広げてくれた4チームに感謝。試合が終わって、記者会見に出で、電車に乗って、家に帰ってきて、朝起きた今も、まだ興奮している。セミファイナルを生で見た観客は幸せだ。
アメリカが負けたのは波乱ではない。ギリシャのほうがゲームの組み立て、ディフェンス、ゲーム支配力、すべてが上だった。特に、ギリシャ#4パパルーカスと、#7スパヌリスの2ガードのゲームメイク、体の使い方の巧さにはホレボレするばかり。試合のたびにうまくなっていく“ベイビーシャック”こと21歳の#5スコーツァニーティスは大事なところのシュートをすべて決めた。スタメンPG#13ディアマンティディスを含め、ギリシャ3ガードのゲームメイクは磐石といっていい。アメリカのオフェンスは、ギリシャのディフェンスを崩したものではなく、パワーに任せたもの。また審判のジャッジにもイライラしているようで、リズムがまったく取れなかった。試合後、コーチKが語った「ギリシャは綺麗で素晴らしいバスケットボールをチームとしてやっていた」は本音だろう。能力任せではない美しいチームプレイが勝った。美しいレイアップシュートがスラムダンクに勝ったのだ。
スペイン対アルゼンチン。華麗なパスワークからのオフェンスを誇る両チームだが、リーガACB(スペインリーグ)のプレイヤーが多く手の内を知り尽くしているだけに、どちらも主導権の握れない“重々しい”展開になった。スペインの#8カルデロンと#7ナバーロらガード陣の不調(アルゼンチンのディフェンスが良かったのだが)を救ったのがPG#11セルヒオ・ロドリゲス(もうすぐ20歳)。U-18ヨーロッパジュニア選手権MVPの選手だ。スペインはこのロドリゲスといい、身体能力高い#5フェルナンデスといい、選手層が本当に厚い。かたや、アルゼンチンのスター#5ジノビリ。温存している間はしっかり休み、コートに出るとドライブ、スリーと決めてくる。それでも、レイアップを落とすあたりはかなりの疲労度が見える。
残り22秒、74-74でスペインボール。ここでアルゼンチンはディフェンスでしのぐことができれば延長戦、もしくは残り時間にかけることもできたが、「ラストの攻撃は自分たちが握りたい」(エルナンデスHC)と、早めのファウルを仕掛ける。この試合で当たっていないPGのカルデロンにファウルをすることを決め、残り18秒にPG#6サンチェスがファウル。カルデロンは二投目を決めて75-74。スペインが1点リード。
ここで観客が立ち上がった!
アルゼンチン#13ノシオニにパスが回ったときは観客が総立ちになった。かつて、日本のバスケットボールシーンにこんな光景があっただろうか。鳥肌立ちまくり。スリーが外れてスペインがリバウンドを死守。スペインが1点差で決勝進出を決めた。
しかし、代償もあった。ガソルが残り1分36秒で左足を痛めて交代。
スペインのペピュ・エルナンデスHCは「勝ったことは非常に嬉しく思いますが、ガソルの故障があり100%の喜びとは言えない」とコメント。いつもは英語で記者会見に臨むエルナンデス氏が「スペイン語ですいません」と言うほど、最初のほうは興奮していた。だが、しだいに「ガソル抜きの決勝」になった場合のことを考えてか「心ここにあらず」といった表情に。試合後、弟マルクと#15ガルバボサに運ばれていく#4ガソルには涙があった。勝った喜びの涙なのか、これからのことを思う涙なのか…。





