2006.08.26
スタートライン2
広島からの帰りの飛行機は、偶然にも日本代表と同じ便だった。いつもならばお揃いの「JAPAN」ものを着ている日本チームだが、すでに解散式をすませているのでこの時は私服。東海組は新幹線で帰ったようなので、東京組の選手たちと広島空港で挨拶をかわす。私服の選手たちを見ていると、「本当に終わったんだ」と、いやでも実感させられる。
負けた瞬間とというのは、意外に記者は冷静なもので、すぐに敗因を分析したりする。そして「たら、れば」を連呼。でも、すべての戦いが終わった時というのは、今までやってきた練習や努力の日々が思い出されて、チームを責める気なんて微塵もなくなる。いや、原稿にはちゃんと敗因は書くんだけれど、空港で戦いから開放された選手たちの顔を見ていたら、今日だけは選手をそっとしてあげたい気持ちになった。
今日の新聞には、日本のグループラウンド敗退を受けて発した石川専務理事の言葉が書かれていた。この大会だけを取材する新聞記者にとっては、結果がすべてだ。結果を出せなければ、次の話題は「次期監督」。早いネットの情報にはスペイン戦の時にはこのことが出ていたという。まだグループラウンドの最終戦が終わってないというのに、どういう神経しているのだろうか。しかも「ベスト8が目標」だなんて、いつどこで誰が言った? 大会を辞退した選手のことを今さら言ってどうするの? まずは4年間の強化と、今大会の戦いぶりを総括するところから始めないと。
バスケットボールの場合、日本人の体格(サイズ、筋力、骨格)で世界と対等に戦えるようになるには、相当な時間と努力を要することを、今回どれだけの人が痛感しただろうか。4年間、どこの国よりも練習しても目標には届かなかった。そのことについは「何故だめだったのか」を反省しなければならないけれど、同時に今までと違って「世界と戦えるようになったこと」も評価してあげたい。これは、長年見てきている私たち専門誌が書かなければならないこと。
今大会、日本代表は歴史の扉を開けようとチャレンジした。そのことを、多くのファンが目撃したことで前途ある意見がどんどん出てくるだろう。文句も、不満も、疑問も、賛辞も、世界のレベルと強化内容を知ってこそ言えること。そういった意味では、日本の男子バスケットボール界は、いまスタートラインに立ったばかりだ。
羽田空港で、選手たちは皆、握手をして別れを告げていた。
選手たちの胸に去来する思いは、必ず原稿にします。





