2006.08.24

日本の現実

勝負を乗り越えるたくましさが足りなかった――。
強豪国と競り合えるまでの強さは身につけたが、あと一歩乗り越える勇気はなかった。

18点ものリードを逆転された悪夢の第4クォーター。ニュージーランドに猛追された終盤、誰もゴールに向かって攻める者がいなかった。前半、ニュージーランドを抑えたディフェンスが素晴らしかっただけに、本当に悔やまれてならない、悔しく残念な敗戦だ。

日本 60-57 ニュージーランド 

ジェリコHCは試合後の記者会見で、「選手が勝つのを怖がっていた」「他のチームなら18点リードしていたら自信がつく。でも日本にはコートの中で自信のない選手がいて、何人かは無責任なプレイをした」と語った。もちろん、「敗戦は自分の責任」としたうえで。

記者会見の席に登壇したのは折茂と古田。「自分の体力と集中力が40分間続かなかった」と古田が言えば、「こういう場面で経験を出すのが自分たちの仕事だったのに、道を作ってあげられなかった」と折茂。この2人が責任を取るコメントをした。

…………。
試合直後、率直に感じたことを書いてもいいだろうか。

判断力と勇気に欠けていたのは、選手だけではなかった。采配も冷静さを欠いていたのではないだろうか。4Qはタイムアウトが遅れたし、ディフェンスもフォーメーションも打つ手がなく、ニュージーランドにされるがまま。選手だけでなく、ベンチも対応できずに、ただただ、時間が流れていった。もちろんコートで判断して実行するのは選手たち。だから記者会見でのコメントにつながることも、よく分かる。

でも……土壇場を乗り越える経験のなさは、チーム全体を含めてのことだと感じた。

プレイングタイムは35歳を超えた折茂が30分、古田が32分。日本はディフェンスで古田に、オフェンスで折茂に頼るしかなかった。深夜のテレビ放映ではカットされていたが、日本は3Qにも一度5点差まで追いつかれている。ここで流れを変えたのは折茂のスリー。4Qの最初には古田のアシストから折茂のレイアップが決まり14点差にしている。流れが悪くなった時に折茂は何度か選手を集めてハドルを組んだ(これもテレビには映っていなかった)。解説の中原さんが「折茂」を連呼していたが、この気持ちはすごくよくわかる。この時、点を取れそうなのは折茂しかいなかったから。

若い選手たちは、試合後にコメントを絞り出すのが精一杯だった。ミックスゾーンで、記者会見で、記者の質問攻めにあって最後まで気丈に答えていたのは折茂と古田だ。記者会見の人選の仕方はわからないが、ここまで彼らにすべてを背負わせなければならないのか。それが日本の現実であり、ベテランの役目だというのなら、酷すぎると思った。

「決勝トーナメントに進出することがどれだけ大変か」を痛感した世界選手権。
でも、
「大変な思いをして進んだ決勝リーグという舞台が、どれほど素晴らしいものなのか」
そのことを若手プレイヤーが知るためにも、ぜひとも決勝トーナメントに進出してほしい。

望みはまだある。

日本対スペインの前に行われる、パナマ対ニュージーランド戦がその命運を握る。パナマが勝つこと、しかも13点差以内(当該チーム間の対戦ゴール・アベレージによって順位が決定する)で勝つことが絶対条件ではあるが。

スペインという強敵を前に、大一番で敗れたショックを乗り越えて戦うこと。これほど、精神面を鍛えられる場はない。グループラウンド最後の一試合、全力で戦ってほしい。


Posted by yota at 13:03  2006世界選手権