2006.08.17
選ばれし12名の代表たち

日本代表は14日に広島入り。いよいよあと2日と迫った世界選手権。ここでは、代表メンバーから外れてしまったけれど、その頑張りには目を見張った佐藤託矢について触れたいと思う。
5月、代表合宿が始まって間もない頃にインタビューしたとき、佐藤託矢はかなりテンぱっていた。青学大でオールジャパンに出場したあとは、バスケットボールどころか、トレーニングさえやってなかった佐藤は10kg太った体で日本代表の合宿にやってきた。アフロにした大きな頭が、より一層、体を重たそうに見せていた。まさか、代表候補に選ばれるとは思ってなかったという。
彼は自分が日本代表で何をやっているのか、これから何をすればいいのか、まったく分かっていなかった。インタビューをしていても話がうまくまとまらず、「すいません。今は何がなんだかもう分からなくて、頭が混乱しています」と言うのが精一杯。
そんな彼が変身した。
東住吉工高時代から「何てポテンシャルのある選手なんだろう」と感じていた。でも彼はお世辞にも全力で練習に取り組むようなタイプとは言えなかった。代々、チビッコ選手たちが一生懸命にやるのがチームカラーのような東住吉工において、はじめての197㎝という超大型選手。そんな中で彼は一人高い能力をもてあましているかのようだった。代表候補入りして久しぶりにインタビューをした時、彼があまりに迷っていたので、常々感じていたことを言葉にした。
「託矢が本気で取り組んだらスゴイ選手になるのにって、ずっと思っていたよ」と。厳しい意見だと思ったが正直に。もちろん「だから代表では託矢の本気が見たい」という意味を込めて。
そうしたら託矢も「僕もそう思うんですよ」と即答してきた。あれれ、認めちゃうんだ(笑)
練習嫌いかどうかは別として、人の意見にもきちんと耳を傾ける「素直」さがあるのは託矢のいいところでもある。全力で取り組んでこなかったという言い方は語弊があるから言いかえるが、高校や大学では自分が体格も、実力もナンバーワンだったから、それ以上頑張る必要性を感じなかったのだろう。でも、日本代表という場は、日本でトップの人たちが真剣に取り組む場ということを知った。今までの自分を素直に省みる自分がいた。
その後の彼は周知の通り。ヨーロッパ遠征の夕飯では肉を一口だけ食べて、あとは水を飲んで耐えて減量した。太った自分が悪いといえ、過酷な練習を繰り返し、娯楽もない場所では、食べることが唯一の楽しみだろう。そんな中で13kgのダイエット(ヨーロッパ遠征当時)をするというのは、並大抵の精神力ではできない。
「だって、太っていると見た目がダサイじゃないですか。夏だしダイエットしないと!」
「そんな理由かい!」と突っ込んだけど、それもまた託矢らしい答え(笑)
佐藤託矢は自らの手でプレイングタイムを勝ち取り、ジェリコHCが12名の選手選考で一番頭を悩ませるまでに成長したのだ。
佐藤託矢だけじゃない。
いつも声を出してチームに元気を与え、シューターのポジションにおいて競争に火をつけてくれた朝山正悟。黙々と練習をし、ヨーロッパでは短い時間ながらパワープレイを披露した大西崇範。彼らの存在は日本代表に競争心を芽生えさせてくれた。それから、今年代表から落選してしまった仲村直人、柏倉秀徳、梶山信吾、西塔佳郎。みんな世界選手権で日本のためにプレイしたい一心で練習に励んでいた。彼らの頑張りが、日本の力を底上げしたと言っていい。
「このチームは誰一人として手を抜いている選手がいなかった。誰も最後まであきらめなかった。だから自分が試合に出たら全力でやるだけ」(折茂武彦)
選ばれた12名は国の代表。世界と戦うために選ばれし者たち。胸を張って戦ってきてほしい。





