2005.12.07
大神雄子が今考えていること

私の仕事の楽しみのひとつとして、『WJBL公式ホームページの選手インタビューコーナー』がある。昨年の開幕と同時に始まり、現在29人の選手をインタビューした。ネット記事ということで、できるだけ旬のネタを盛り込みたいと思い、取材はなるべく更新日に近い日にするようにしている。バスケットの話とプライベートな話の2本立てで、プライベートな話では、ついつい横道に脱線して長取材になったりもする。とはいっても、ネットに載せられる字数も限られているので、半分くらいカットしなきゃならないのが残念なんだけど…。
この企画がスタートした時、担当者から指定されたインタビューの字数はとても短かった。第1回目の矢野良子選手の時は指定された字数を守って書いていたんだけど、回数を重ねるごとにどんどん長くなっているのをお気づきだろうか。選手が興味深いことを言っているのに、この大切な言葉を自分の中だけにとどめておくのはもったいない。一番知りたいのはファンなのだから。そうした思いから、インタビューの字数は徐々にネットで掲載できる範囲内で長くなっていった(最初のほうに取材した選手、ごめんね)。
そして現在、ホームページ上にアップされているシン(大神雄子)のインタビューは今までで最大の分量になった。というか、削れない言葉だらけだった。シンは今、「周りが見えなくて余裕がない」という。心の奥底から「迷いを吹っ切ろう」とわき出てくる思いをこのインタビューにぶつけてくれたのだ。
私自身、シンがはじめて日本代表のメインガードを務めた東アジア大会を見て、「もがきながらも進歩しようとしている」ことを、ひしひしと感じていた時だった。
今までのシンだったら「試合に出たら盛り上げますよぉ!」だったが、今は「チームを勝利に導きたい!」という心構えに変わってきているのを、試合に臨む顔つきから感じることができた。JOMOでもそうだ。昨年までは「若さと勢い」だけだったが、今年からは「周りに気を遣う」ことを考えながらやっている。それはまだ自分のものにはなっていない。だから迷う。
インタビュー中、その思いを言葉で表していくうちに、シン自身、自分が進化しようともがいていることに気づいていった。何に対して迷っているのかが見えてきたのかもしれない。そうなると、シンの勢いは止まらない。最後に自分の夢--「WNBAに挑戦」--を語る時の顔は前に進むことだけを考えているように見えた。
以前、萩原美樹子さんを取材した時も今回と似たようなことがあった。ジャパンエナジーのキャプテンを2年連続務めていたが、ライバル・シャンソンに勝てない時だった。
「自分が悩んでいる時こそ、取材に来てください。質問されると、その状況を的確に言葉にしようとするので『あ、私ってこんなこと考えていたんだ』って気付いて、自分のことを把握できるんです」
意外だった。おーちゃん(萩原さん)くらいの選手なら、自分の考えていることなど整理できていると思ったからだ。
「考えこんじゃうんです。これで合っているのかなって。今やっていることは正解なのか、間違っているのか、答えはあるのかって。私のことをよく見ている人に話せば、外からの意見も聞けるし」
誰だってうまくいくときばかりじゃない。そんな時はインタビューなんて受けたくないかもしれない。情けない自分をさらけ出したくないかもしれない。だが、そこで踏ん張って自分の置かれている状況を分析することが上達する一歩なのかもしれない、とおーちゃんの話を聞きながら思った。
おーちゃんがそうだったように、迷いが吹っ切れた時はそれが自信になり、ものすごいパワーが出ると信じているので、シンにもトコトン今の自分を迷って考え抜いてほしいと思う。記者やファンはそんな試行錯誤や奮闘している姿を見守ることも務めだと思っている。
さて。シンはこの他にも日本代表についてもいっぱい話してくれたんだけど、それは文字数の都合で残念ながらカット。日本代表の話はオールジャパン公式プログラム(日本バスケットボール協会発行)に掲載するので、ファンの方はぜひ読んでください。
それと、書けなかったことをひとつだけ。
「試合前にすることと、絶対にしたらダメなことは何ですか?」の質問で、シンが試合前することは、「テーピングやバッシュは左から」「スポーツの試合を見ること」以外にもうひとつあるという。それは、「調子良かった試合の時に履いていたパンツを履いて試合に臨むこと」。つまり、シンには“勝負パンツ”があるというのだ(笑)
「ガンかけじゃないけど、パンツはけっこう気にしますって書いてください。ハートとかクマの柄とか、そんなカワイイのじゃないっすよ(笑)。でもパンツとか書くの恥ずかしいなあ。ま、いいか自分、お笑いだから(笑)」
と、一人でボケてツッこんでくれたシンでした。書いていいっていうから、書いちゃったよ(笑)





