2005.10.10

高校界に帰ってきた名将

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宮城県高校ウインターカップ予選の話パート2。

 久しぶりに見た久夫先生の采配。6月に見た時はまだ自分のチームになってなかったせいか、一言も檄を飛ばしていなかった。だけど今回はしっかりと久夫先生のチームになっていて、的確な指示を出し、檄を飛ばし、士気を鼓舞して、選手と一緒に戦っていた。

 「久夫先生はやっぱり高校生と格闘している姿が似合う」

試合のあと、肌寒い秋の風が吹く中で簡易喫煙所でタバコを吸っていた久夫先生を発見する。

 「お疲れ様でした」
 「よく来たなぁ。君たち(記者陣)にまた全国大会で会えると思って、楽しみにしてたんだけどなあ」

 本当なら試合に敗れて悔しくてたまらないと思うのだけれど、今までと変わらぬ笑顔で歓迎してくれたことに心の中でグッとこみあげてくるものがあった。いつも周囲を気遣う佐藤久夫流のなつかしい挨拶だ。そして、「(勝負所で大切なのは)技術じゃない気持ちなんだ」という言葉を聞いて、仙台戦の敗戦はある意味、納得のうえだったんだなと感じた。いくつか質問してみた。

「どうして最初からゾーンだったんですか?」
「走りっこすると相手のペースになる。対戦相手によって対応できる柔軟性あるバスケットをしたいんだ」

 明成が目指しているのは、状況によってたくさんの引き出しの中から選択できるチェンジング・バスケット。チームプレイの中に個人の1対1の能力を引き出せるバスケット。さらには、仙台高でやってきたパッシングをさらに極めたバスケット。「チェンジ・オブ・ペース」と「パッシングゲーム」は「今後、日本が世界に出て戦うために必要なスタイル」だと久夫先生は断言する。

 母校であり、みずから日本一に導いた仙台高を敵に回してまで選んだ覚悟の道。それは、久夫先生にとっては、新たなバスケットを試みる「挑戦」であり「進化」するため。だけど、根底にあるものは仙台高時代と同じ「高校生の可能性を引き出すこと」であり「一生懸命さは日本一」であることに変わりない、と私は思う。

 宮城県ウンイターカップ予選は、その後、準決勝、決勝と圧勝した仙台が出場権を手に入れた。仙台は決勝の東北学院戦では、後半からオールコートプレスと速攻で一気にたたみかけた。ジュニア日本代表の佐々木瑛を擁する東北学院、夏の東北大会で能代工を延長まで追い詰めた宮城広瀬と、今年は例年になく激戦だった宮城だが、終わってみれば、仙台のモチベーションとスタミナが他校よりも頭一つ上回っていた。そう考えると、やはり準々決勝の仙台vs明成は決勝にも匹敵する戦いだったと思う。

「これだけレベルの高い予選が見られるなんて思わなかった。これから宮城のレベルが上がりますね」
 大会終了後、役員の先生方が言っていた。

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ウインターカップ出場を決めた仙台高


 佐藤剛率いる仙台は、明成という強力チームの出現があっても、恩師がライバルとなっても、今後も歯を食いしばってひたすら練習を重ねるだろう。他の高校だって、新参者の活躍をただ指をくわえて見ているなんてことはしないはずだ。そして、明成は初の全国大会出場を目指して、さらなる強化をしていく。
                                 
 宮城のバスケットがますます熱くなることを期待しつつ…。でも、まずは、
「久夫先生、高校界にお帰りなさい!」


Posted by yota at 23:54  高校バスケ