2005.09.26

新潟で会ったプロフェッショナルな男

hasegawa.jpg

 マコトに会った。新潟アルビレックスの長谷川誠である。9/25(日)、bjリーグのプレシーズンマッチ新潟vs仙台の取材で新潟に行ってきた(今日までイヤーブック作成はお休み)。以前月バスで松下電器とボッシュの担当記者をしていた私は、長谷川誠とはよく話す機会があった。けれど、新潟に移籍してからは特に話してはないかった。新潟で試合は見ていたけど、実際に会って話すのは3年ぶりくらい?
 
 15分ほど話す時間があったが、相変わらずの長谷川節が聞けた。JBLスーパーリーグからbjリーグ入りするのに少しだけ迷いはあったというが、生活も技術もすべてが“プロ”という活動にひかれ、決断は早かったという。もともと、JBL時代からプロ契約選手。体作りにも人一倍気を遣っていたし、意識の高さは飛び抜けていた。2000年からはアメリカ・アリゾナ州フェニックスにあるトレーニング施設「アスリート・パフォーマンス」(プロフェッショナルを対象にしたトレーニング施設)でトレーニングをみっちり行っている。始めた当初は2週間程度からスタートしたが、年々長くなってきて今年は2か月間も行っていたとか。しかも個人でトレーナーを雇って2か月間アメリカで生活するわけで、その費用はもちろん自分持ちだ。

「JBLを見ても、ここまで自分の体に投資しているのは自分だけだと思う」

 ウォーミングアップでは一番早くにコートに来て、念入りに体を動かして、丁寧にシュートを打っていた。アップだからといって、決して手を抜くことはない。アップから試合終了までの流れのつかみ方、調整方法を心得ているのだ。彼ももう34歳。年齢とともにコンディションを維持することが自身のパフォーマンスにつながっていくことを、本人が一番よく知っている。逆に言えば、コンディションが整わなかったら仕事をすることはできなくなる。己を鍛えるストイックさは、以前にも増していた。

 試合では“仕事人”だった。スタメンではあるものの、バリバリと全面的にやるわけではなく、要所で出てきては、アシストに得点にと、ピリリとチームを引き締めた(14得点)。ゲームの流れを見極める力も他のプレイヤーと比べると、格段に飛び抜けている。94-68で新潟を勝利に導き、これがJBL、日本代表で体を張ってきた男のプレイなんだと思った。

 まさに、プロフェッショナル。
  
 だが、言い換えれば、他のbjの選手たちが早くこのレベルに追いつかないといけない。長谷川の意識の高さだけが飛び抜けているのでは、プロリーグは成り立たない。今日のプレシーズンマッチを見た限りでは、bjリーグが“プロ”として盛り上がるのは正直時間がかかるな、と思った。「俺はプロ選手だ」と口で言うのは簡単だが、今のbj(およびJBL)の中に、意識・技術両面で“プロ”だということを体を張って示すことができる選手は一体どれだけいるのだろうか。プロリーグ成功の一番の要因は、選手たちのプロ意識にあるはず。

 だからこそ、長谷川は己の意志を体現してみせる。

「見ている周りの選手、特に若い選手を刺激したいというのがすごくある。プロ選手はこういうふうにしろよ、と口で言うより、自分がやっていることを見て何かを感じ取ってくれれば」

 どこまでもストイックなマコトの顔を見ていたら、過去のあるインタビューが思い出された。99年、福岡で行われたシドニー五輪予選で敗れたあとのインタビュー。聞くほうも辛かっただけに、あの時の言葉は私の胸にズシンと突き刺さった。その言葉が6年の月日をかけて、今、オーバーラップした。

「負けた時はショックで、しばらくは何も手につかなかった。秋田に帰って家にこもったりもした。でも、オリンピックに出られなかったからといって死ぬわけじゃない。バスケットを取り上げられたわけでもない。そう気づいてからは、バスケットができるんだから、やれるところまで続けていきたいと思うようになった」

 そして、長谷川誠は今もバスケットを続けている。

 34歳の男がプロの世界でどこまでやれるか。どこまで若い者やファンに体を張って示せるか。トコトン、バスケットをやり続ける覚悟を見てやろうじゃないか。そんなことを、新潟で思った。


Posted by yota at 03:33  あの人に会いたい!