月刊バスケットボール6月号

NBA

2024.03.07

シャキール・オニールの自己最高得点から24年、61点目はコービーのアシストだった

全盛期のシャックが見せた61得点!


NBAの長い歴史の中で最強と謳われる選手は数多く存在する。主に1990年代前半から2000年代に活躍したシャキール・オニールは最強センターの一人だ。自身にとって28歳の誕生日となった2000年の今日(3月6日、日本時間7日)、レイカーズでプレーしていたシャックはクリッパーズ戦でキャリアハイの61得点を記録した。

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レイカーズの1999-00シーズンは、ブルズを6度優勝に導いたフィル・ジャクソンがヘッドコーチ就任1年目。急成長を遂げるコービー・ブライアント、オールスター・プレーヤーのグレン・ライス、ブルズで2度目の3連覇に貢献した司令塔ロン・ハーパー、後にMr.クラッチと言われるロバート・オーリーなど実力派を揃えるチームは開幕直後から好調をキープし、ウエスト1位の41勝7敗でこの日を迎えた。
オニールは試合開始から絶好調とはいかず。ジャンプボールでキックボールをすると、約1.2mのシュートをミス。さらに連続ターンオーバーというスタートに。それでも残り7分43秒、苦手なフリースローで初得点を奪うと、フックシュートなどFGを3本成功。フリースローも3本決めて10得点まで伸ばす。1Qをフル出場すると2Qもそのままプレー。ゴール下でうまいステップを見せて連続得点をマークしていく。残り6分にはリバウンドを奪ってトレードマークのシャックアタック! ボースハンド・ダンクを叩き込んだ。その後もインサイドで圧倒するとハーフタイムで26得点、11リバウンドとすでにダブルダブルをマークした。



3Qもフル出場で16得点を挙げて42得点とこの時点でのシーズン最高得点を更新。そして4Qに入っても、リック・フォックスやオーリーのアシストなどで追加点を奪っていく。そして残り5分半のダンクで54得点とし、マジック時代に記録した53得点(1994年4月20日)をオーバー。MVPコールが自然と巻き起こった。
その後も得点し59得点まで積み重ねると、残り3分半を切ったところで最も盛り上がる瞬間が訪れた。デビーン・ジョージがオフェンス・リバウンドを奪って右ウイングにいたブライアントにパス。距離を詰めてきたラマー・オドム(クリッパーズ)を交わしてペネトレイトするとジャンプ。レイアップを決められる体勢だったが、“どうぞ”とばかりにゴール下にいたオニールにパス。そのまま豪快なダンクを決めて61得点に到達した。アリーナのファンは割れんばかりの大歓声を上げたが、この直後にもう一つ盛り上がるシーンが訪れた。



ディフェンス・リバウンドを奪ったオニールが自らドリブルでフロントコートに運ぶと、コート右サイドからブライアントが誰もいないゴールへダッシュ。オニールからお返しのパスを受けてボースハンド・リバースのアリウープを決めたのだった。直後にオニールとブライントはハイファイブをし、最高の笑顔を見せた。
試合は123-103で勝利。オニールは44分52秒プレーでFG24/35、FT13/22で61得点、23リバウンドというダブルダブルをマークした。クリッパーズのジム・トッド暫定HCは試合後、「彼を止めるために考えられることはやった。それでもゴリアテ(旧約聖書に登場する巨人)を相手にするのは大変だった。50点で満足してくれることを祈っていたのだが…」とお手上げだったと語っている。ちなみにクリッパーズはインサイドのモーリス・テイラー、マイケル・オロウォカンディ、そしてオドムが5ファウル。PFのピート・チルカットはファウルアウトとなっていた。



「いい気分だ」と語ったのはオニール。「ショットが決まっていたし、とにかく絶好調だった。それほどダブルチームに来なかったから、確率良くシュートを決めようと思っていたんだ」と振り返っている。チームメイトのライスは「間違いなくMVPだ。攻守ともに素晴らしいシーズンを送っているし、素晴らしいリーダーでもある」と称賛している。ちなみに、この1999-00シーズン、オニールは平均29.7得点で得点王となり、シーズンMVPに加えてオールスターMVP、さらに優勝してファイナルMVPをも獲得している。正に全盛期と言えるシーズンである。その象徴と言えるのが、このクリッパーズ戦だった。



文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

タグ: シャキール・オニール

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