月刊バスケットボール6月号

【ウインターカップ2023】荒波を乗り越え体現した“諏訪メンタリティ”──寺坂優羽&板倉伶弥


高校バスケは自分の力を思い知らされる場でもあり、自分が成長する場でもある


ウインターカップ男子3回戦で福岡第一に挑んだ東海大付諏訪。序盤から福岡第一に食らいつき、前半の大部分で1桁点差を追う粘りを見せていた。しかし、後半に入ると#17崎濱秀斗を中心に福岡第一が1段階ギアを上げ、徐々に点差を拡大。諏訪も最後まで粘りを見せたが、最終的には81-108で試合終了のブザーが鳴った。


『ウインターカップ2023』特設ページ(日程・出場校&選手名鑑・トーナメント表)

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スタメン5人中4人が3年生。特に昨年から主力として戦っている#17寺坂優羽と#77板倉伶弥は、今年度の諏訪の看板選手として1年間を駆け抜けてきた。長い手足を活かした華麗なプレーを見せる寺坂と、インサイドのディフェンスや合わせのプレーでコツコツ戦う板倉──2人のプレースタイルは全く異なるものだが、共通していたのはそのメンタリティ。

ルーズボールやリバウンドなどの泥臭い部分を大切にする“諏訪メンタリティ”をしっかりと受け継ぎ、コートで体現してみせたのだ。板倉は言う。

「前半は付いていく展開を想定していて、後半も粘り強くやって最後に逆転するというのがプランでした。負けてしまいましたが、3年生が出だしで諏訪メンタリティを出せていけたのはすごく良かったと思います」

寺坂も「この大会は自分の力を精一杯出して…本当はもっと観客を魅了するプレーもしたかったですが(笑)、チームを勝たせることを優先できたので、本当に悔いのない大会になりました」と晴れやかな表情を浮かべた。

彼ら2人をはじめ、今年の3年生はコロナ禍の2021年に入学し、当初はコミュニケーションの面などでの苦労が絶えなかった。さらに、3年生になるタイミングで監督が入野貴幸コーチから小滝道仁コーチに代わり、体制変更も経験。波瀾万丈という言葉が当てはまる代だったかもしれない。

それでも「先生が変わったときは変化に慣れるのが大変でしたが、小滝先生がすごくフレンドリー話しかけてくれたり、コミュニケーションをたくさん取ってくれました。自分たちの学年でもミーティングをして、そういうことができたから乗り越えられたかなと思います」と板倉は言う。

こうしたさまざまな出来事を経験したことで、選手としての成長はもちろん、「今後につなげるための高校3年間だと考えると、バスケへの取り組み方や姿勢を次につなげられる高校だと思ったので諏訪を選びました」という寺坂の言葉のように、2人とも人としてひと回りもふた回りも大きく成長した。


東海大付諏訪#17寺坂優羽

寺坂は3年間をこう振り返る。

「自分は結構やんちゃな方で、応援に来てくれた先輩たちからも『本当にお前がキャプテンだったの?』と言われるくらいだったんです(笑)。でも、プレータイムをもらえるようになって、自分は本当にこれでいいのかと改めて思うようになりました。いつまでもこのままでは応援されないなと。そこから練習や取り組み方を変えてこられたと思います」

板倉はコミュニケーション面での自身の変化を口にする。

「寮生活だったので、1年生のときはまず仲間作りからのスタートでした。そこで自分からコミュニケーションを取らなければ、おいてけぼりにされてしまうと思ったんです。3年間でよりコミュニケーションが取れる人間になったかなと思います」

コートで見せる豪快なプレーとは裏腹に、2人ともにとても丁寧で優しい口調で質問に答えてくれた。諏訪で学んだ人としての成長ぶりは、オフコートでの2人の姿にもしっかりと表れている。

高校バスケは自分の力を思い知らされる場でもあり、自分が成長する場でもある──板倉の言葉だ。

東海大付諏訪での3年間は波乱に満ちた日々だった。だが、その荒波すらも成長の糧として乗り越えた、2人にとってかけがえのない時間ともなったはずだ。

東海大付諏訪#77板倉伶弥



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「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会」
(略称:SoftBank ウインターカップ2023 / ソフトバンク ウインターカップ2023)
■開催期日:2023年12月23日(土)~29日(金)
■会場:東京体育館(A,B,C,D,Mコート / 東京都渋谷区千駄ケ谷1-17-1※メイン会場)、武蔵野の森総合スポーツプラザ(E,F,G,Hコート / 東京都調布市西町290-11※サブ会場12月23日のみ)
■出場校:男女各60チーム(計120チーム)



文/堀内涼(月刊バスケットボール)

タグ: 東海大付諏訪 ウインターカップ2023

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