月刊バスケットボール6月号

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2023.12.13

千葉ジェッツ、12/13(水)にEASL初代王者の安養正官庄レッドブースターズと対戦

11月1日のTNTトロパンギガ戦での富樫勇樹。この日は14得点、5アシストで75-66の勝利に貢献した(写真/©EASL)

EASLで開幕以来無傷の3連勝と好調を保ち、グループAの首位に立っている千葉ジェッツが、1213日(水)に今シーズン4試合目となる安養正官庄レッドブースターズ(韓国)との一戦を迎える。安養は昨シーズン中に行われたEASLチャンピオンズウイークで初代王者に輝き、韓国のプロリーグKBL2022-23シーズンを制したチームだ。会場は韓国の安養市にある安養室内体育館。安養は現在千葉Jを追うグループA2位だが、こちらも2試合を戦ってどちらも勝利している。今回は千葉JにとってEASLにおける3試合目の海外遠征だが、どのような対戦になるだろうか。


故障者に悩みながら、大型補強でチーム力を維持する千葉J

Bリーグでの千葉J118敗でB1東地区3位につけているが、ここにきて1130日の島根スサノオマジック戦で、二上 耀(離脱左前十字靭帯断裂・内側側副靱帯損傷・外側半月板損傷)と原 修太(左第4中手骨骨折)の二人を失う不運に見舞われている。ただ、同じ試合でBリーグデビューを果たした身長203cmの新加入外国籍フォワード、ゼイビア・クックスが徐々にパフォーマンスを上げてきている。直近12月10日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦では、来日後初のダブルダブル(16得点、10リバウンド)を記録した。千葉Jはクックス加入後の5試合が3勝2敗で、中盤戦・後半戦に向け厳しいニュースばかりではない。

個別には、富樫勇樹が得点ランキングでリーグ全体3位に入る平均19.5得点、リーグ4位の4.8アシストとハイレベルな活躍でチームをけん引。ジョン・ムーニー(17.9得点)、デー・ジェイ・ステフェンズ(12.7得点)、そしてクックス(10.4得点)まで計4人が2桁得点のアベレージを残している。期待の若手シューター金近 蓮も、3P成功率でリーグ4位に入る43.9%を記録して平均8.4得点と期待に応える活躍だ。


新加入のゼイビア・クックスも徐々に活躍の幅を広げてきている(写真/©B.League)

千葉Jはチームとしても平均83.3得点がリーグ3位タイとハイレベルだ。ただし、失点もまったく同じ83.3で、これはB1全体で下から数えて5番目。ディフェンス面の向上は、クックスがさらに機能してくる今後の課題だろう。

EASLにおいても、Bリーグでの試合展開と同じように富樫の勝負強さや爆発力は発揮されている。またムーニー、ステフェンズら得点源が活躍し、さらには与えられた役割をきちんと果たすベンチプレーヤーたちの貢献が積み重なる好循環がある。富樫に関しては、台北富邦ブレーブスとのアウェイゲームで3Pショットを18本中9本沈めて38得点(および5リバウンド、7アシスト)を記録し、千葉J85-82の勝利に導いた活躍も印象的だった。

外国籍登録も見どころの一つ

今回の対戦における一つの注目ポイントに、現時点で詳細情報が確認できていない外国籍プレーヤー登録がある。登録できるのは二人まで。千葉J側はサイズの優位性を狙って身長206cmのムーニーを入れる考えがありうると同時に、クックスとステフェンズという、いずれも非常に身体能力が高くムーニーと異なる形でコートの広い範囲をカバーでき、得点も期待できるコンビを送り出すこともできる。

ムーニーはEASLにおける出場が直近のTNTトロパンギガ戦のみだが、そこで30得点、16リバウンドという大暴れだった。ステフェンズはここまでEASL3試合すべてに出場し、平均14.0得点、9.7リバウンドとほぼダブルダブルのアベレージを残している。調子を上げてきているクックスを含め、それぞれが強力な持ち味を発揮できる3人のタレントを、ジョン・パトリックHCがどのような考えで登録するか興味深い。



ジョン・ムーニーはEASLデビュー戦で30得点、16リバウンドのモンスターゲームを披露した(写真/©B.League)

両チームのアジア枠に目を向けると、千葉Jが身長193cmのセンターフォワード、アイラ・ブラウン。安養はフィリピン代表で身長188cmのガード、レンツ・アバンドがいる。両者がマッチアップするかは別にして、どちらも見ごたえ満点のスラムダンカーだ。

ブラウンはジェッツブースターならご存じのとおりフィジカルな強さを感じさせる。一方のアバンドは、空中に舞い上がる様子やペリメーターからディフェンダーを振り切ってゴールに向かうスピード感に、NBAレジェンドのアレン・アイバーソンをほうふつとさせる軽やかさがある。彼は千葉Jのウイングに大きなチャレンジを強いるに違いない。



ワールドカップの舞台でこのダンク。レンツ・アバンドのプレーは見ごたえ満点だ(写真/©FIBAWC2023)

安養はKBLで7連敗中

安養のKBLにおける今シーズンは、1210日時点まで911敗で5位タイ。実は現在7連敗の泥沼でもがいている。スタッツを見ると、平均12.8得点でチームのトップスコアラーとなっているガードのパク ジフンのほか、身長198cmの外国籍センターのダリル・モンローが10.8得点、アバンドも10.1得点と2桁アベレージを記録している(もう一人、ガードのチョイ ソンウォンも平均10.5得点という記録が見つかるのだが、12日現在EASL公式サイトの安養紹介ページには彼の名前がなく、千葉J戦に出場するかは定かではない。チョイはKBLでフリースロー成功率91.9%がリーグ1位というプレーヤーでもある)。そして身長191cmのビッグガードで平均9.1得点のぺ・ビョンジュンあたりまでがコンスタントに得点に絡んでいる。

EASLでの2試合に勝利できたのは、どちらも5人以上のプレーヤーが2桁得点に乗せ、チームオフェンスを展開できたことが大きな要因。TNTトロパンギガとの2試合目では、チョイが3Pショット7本中6本を決めて24得点を挙げ、チーム全体で6人が2桁得点だった。モンローは21得点に10リバウンドを記録した一方で、チームとして3Pショットを31本中16本決めている。この勝利はインサイドでのビッグマンのが躍動にアウトサイドのオフェンスがうまくかみ合った結果だ。今回千葉JはEASLでの4連勝をかけた挑戦となるが、安養の的を絞りにくいオフェンスはなかなか手ごわい。登録など当日の直前情報にも注目し、見応えある一戦を期待しよう。



文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 千葉ジェッツ EASL東アジアスーパーリーグ

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