月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2017.10.12

【B.STARS Vol.3-③】岸本隆一(琉球ゴールデンキングス)

チームを引っ張る琉球の“顔” 安定感を身に付け真のリーダーに!   琉球ゴールデンキングス#14/176cm/PG・SG/1990年5月17日生まれ/大東文化大  

    歴史的開幕戦での悔しさ “爆発力”より“安定感”    昨年9月、盛大に行われた記念すべきBリーグ初年度の開幕戦。その歴史的なゲームを戦うことになったのが、琉球とA東京だった。言うまでもなく岸本からすれば、A東京は、大きなモチベーションをもらった因縁の相手。だからこそ「この2年間、自分なりに、いろいろ考えて積み上げてきたものがありました」と言い、強敵との再戦に備えていた。が、結果は2試合ともにまたしても完敗。立ちはだかる壁の厚さを、改めて思い知らされる形になった。    こうしてBリーグ元年、連敗スタートとなった琉球は、結果的に29勝31敗とレギュラーシーズンは負け越す形に。なんとかチャンピオンシップには進出したものの、三河に2連敗してシーズン終了となり、「思ったよりも勝てず、個人的にも苦しいシーズンでした。戦術、スキルを準備して臨んだのですが、それでも結果が出なかったことは正直きつかったです」と岸本は振り返る。    そんな苦いシーズンを終え、琉球はチーム編成の改革を断行。新たに佐々宜央氏をヘッドコーチに据えて、7人の新加入選手を入れるという大型補強に踏み切った。その顔ぶれは、経験豊富な#30ヒルトン・アームストロング(元千葉)や帰化選手の#33アイラ・ブラウン(元SR渋谷)に加え、攻防でチームに勢いを与える#11須田侑太郎(元栃木)やベテランの#0石崎巧(元名古屋D)など、いずれも即戦力ばかり。さらに、昨季のファイナルMVP#51古川孝敏(元栃木)も、現在はケガで戦線を離脱しているが、シーズン途中で復帰すればさらにチームの追い風になるはずだ。    これほどまでの抜本的な改革は、創立2シーズン目で“奇跡”の優勝を成し遂げた08‐09シーズン以来と言えるだろう。そのため、あのときの感動をもう一度……と期待するファンも少なくないはず。ただ、佐々HCは「ウィークポイントは多いです」とあくまで冷静にチーム状況を捉え、危機感を持ってチームケミストリーの構築に励んでいる。    そんな中で、来たる開幕に向けて岸本が強調するのは、「『当たれば強いキングス』ではなく、『安定して強いキングス』を表現したい」ということ。その口調はまるで、自らに言い聞かせるようでもあったが、それもそのはず。昨シーズンで岸本は、「終盤勝ち星が少しずつ増えていき、自分がしっかりしなければいけないなと改めて感じました」と、自身の好不調がそのままチームの結果に直結することを実感していたのだ。    今季、顔ぶれがガラリと変わった新生・琉球においても、司令塔でありキャプテンも務める岸本が、依然としてカギを握ることに変わりはないだろう。チームとしても岸本個人としても、求められるのは“安定感”。0得点の翌日に34得点を挙げるような爆発力よりも、日々、好調をキープし続けることが求められているのだ。“見ている人をわくわくさせる”だけでなく、勝利という結果で琉球の力を証明する真のリーダーへ――。27歳を迎えた岸本の、新たな挑戦が始まろうとしている。   (おわり)   ▼月刊バスケットボール編集部員が語る“岸本隆一”のここに注目!! https://sports.mb.softbank.jp/vod/player/14707?rc=cf_featured_basketball  

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