月刊バスケットボール5月号

【記者の目】12/24ウインターカップ2015~ニューヒロイン誕生の予感〜

将来有望のシューターが、今大会のヒロインとなれるか――。 昨年女子ベスト4の安城学園は、第3シードの東京成徳大と対戦。大阪桐蔭を退けた昨年同様、今年も接戦の上シード校を撃破し、3回戦進出を果たした。   その中で大車輪の活躍を見せたのが、8本の3Pシュートを含む35得点を挙げた#13須田多恵だ。 初戦の奈良文化戦は3Pシュート10本。 当然、東京成徳大戦では猛マークに遭い前半から苦しい時間帯が続き、さらに攻防の要・#4土田帆乃香が劣勢の場面で5ファウル退場。“精神的支柱”の不在で「焦りはあった」が、厳しいマークを振り切り得点を重ねると、終盤はステップバックからの3Pシュートなど、立て続けにゴールを射抜いた。 この活躍がなければ、安城学園の勝利はなかっただろう。   本格的に3Pシュートを打ち始めたのは高校に入ってから。そのため最初は決まらなかったが、1年時に右手親指を骨折した期間があり、その間にフォームを固められたのは今となっては不幸中の幸い。 「自信がなかった」ものの、2年生になるころには思い切って打てるようになり、今大会でその素質が一気に開花。   「明るさだけはあると思います(笑)。シュートが1本外れても気にしませんし、打たないとシュートは決まらない。特に終盤は何も考えずにシュートを打っていました」 その言葉どおり、物おじせずシュートを打り切れることが須田の強みだ。加えて、176cmの高さに、元々得意のドライブも持ち合わせており、ディフェンスは的を絞るのが非常に難しい。   その活躍は、今大会最も輝きを放っている選手と言っても過言ではない。   桜花学園#10馬瓜ステファニー、昭和学院#8赤穂ひまわり、札幌山の手#16栗林未和など、有望な選手が多い2年生。先に挙げた選手たちに比べ、これまで全国区ではなかった須田がここに食い込み、ニューヒロインとして名を馳せることができるか。 それは次戦の福島西戦、そしてその後の活躍にかかっている。

東京成徳大に勝利し、涙を見せる安城学園の選手たち(右から2番目が須田)   (月刊バスケットボール編集部)

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