月刊バスケットボール5月号

NBA

2017.05.31

<NBA座談会> NBA Finals 2017勝敗予想

<NBA座談会> Part.3 NBA Finals2017 勝敗予想   6月号から2号にわたって掲載しているNBA座談会。今回は、NBAファイナル開幕直前ということで、キャバリアーズ対ウォリアーズのファイナル勝敗予想を紹介します。 写真=石塚康隆   <座談会参加メンバー> =本誌NBA担当。観戦歴は約22年。=グリズリーズを中心としながらも、NBA全般の情報収集にもたけている。=NBAの知識が豊富。選手のクセや特徴を把握した発言で核心を突く。=セルティックスへの愛情は相当なもの。他チームは対戦相手として頻繁にチェック=自他共に認めるマブスファン。選手やコーチのコメントを読み取って説明するのがうまい。   ファイナルMVPはクレイ・トンプソンと予想  僕の予想は4勝2敗でウォリアーズ。ファイナルMVP予想は クレイ・トンプソンです。将来的にも、カリーはファイナルMVPを獲らないような気が しています。もし去年、ウォリアーズが勝っていたら、ファイナルMVPはグリーンです よね。それが何かこう、今年もそんな感じじゃないかな、と思うんです。カリーが シューティングの時にふざけていることがあっても、(ボールを)置いておいて何か 別のことをしようとしていても、彼はひたすらシューティングしています。ウォリアー ズはまるでオールスターチームみたいなロスターなのに、『彼は真面目だなぁ』と いうのがありますので、クレイにMVPを獲ってほしいな、って思います。  あのチームで一番ヤバそうなのはトンプソンですよね。  ゾーンに入った時は一番怖いですよ。ほかのチームに行ったら、絶対エースです もん。一番我慢しているんじゃないかな、と思います。  10何回かしかドリブルをしていないのに、60得点する男ですからね。  1Qに40得点しろ、と聞いて誰にベットするかと聞かれれば、 (カリーではなく)トンプソンですよね。

短時間に高確率なショットで大量得点を狙えるクレイ・トンプソン     レブロン・ジェームズの勝利への執着心が勝る  僕は4勝2敗でキャブズですね。間逆の予想になりますけど、 KD(ケビン・デュラント)がケガから戻ってきて、キャブズに勝てないんじゃないかな、 って思うんです。仮にクレイが当たっても、結局はKDがいることによって、チームでは なくなる気がするんですよね。今(4月6日現在)のウォリアーズってKDがいない分、 すごい“チーム”になっていますよね。今季のウォリアーズはリズムが取れていない 印象しかないので。あとは、追われた時のレブロン・ジェームズは、(昨季のように) とんでもないんじゃないかなって。チェイスダウン・ブロックのような勝利への 執着心というか、その貪欲さはキャブズのほうがすごいんじゃないかなって。 あとはサポーティングキャストですね。ウォリアーズでいえば、ショーン・リビ ングストンやアンドレ・イグダーラこそいますが、ハリソン・バーンズ(現マー ベリックス)、アンドリュー・ボーガット(現FA)が抜けたのは痛いと思います。 今のキャブズのベンチには、元オールスターのデロン・ウィリアムズやカイル・ コーバーもいますよね。  じゃあもしプレイオフでKDがケガしたらどうですか?  そうなったら、昨季と同じ流れになって、4勝3敗でキャブズになると思います。 押し切られると思います。デュラントがいなくなった分、マット・バーンズとかを 先発で起用することになるので、もっとベンチが薄くなると思うんです。  昨季と違うのは、イグダーラがここ2年ほど下位ラウンドでディフェンスに 注力しなくて済んでいますよね。その分、ファイナルではレブロンに対して ディフェンスに専念できそうじゃないですか。

ゲームメイクもこなせる驚異の万能戦士レブロン。この男の存在がキャブズを特別なチームにしている     サポーティングキャストの層を厚くしたキャブズ優勢か  私も4勝2敗でキャブズです。それだけキャブズは強いと 思っています。この予想を覆すためには、デュラントがどれだけレブロンに 対して戦えるかです。デュラントには、2012年(当時ヒートに所属していた レブロン相手に1勝4敗で敗退)の借りを返すべく、ディフェンスなど細かい 部分でもレブロンを抑えることができないときついかな、と思っています。 それだけレブロンが持つ影響力はすごいんです。そして、それはカリーや トンプソンではできないことですし、それをグリーンがやるべきではないと 思っています。グリーンはほかのこと、それこそチームディフェンスの砦と なるべき選手ですので。さっきも話に出てきましたが、サポーティング キャストの話も含めますと、キャブズ優勢でしょう。昨季のコア(レブロン、 カイリー・アービング、ケビン・ラブ、トリスタン・トンプソンら)に、デロンや コーバーが加わったキャブズに対して、ウォリアーズはKD加入もあって、 コアを変えています。あとは、個人的にどうもマイク・ブラウン(ウォリアーズの アソシエイトHC)の判断力を信用できないんですよね。スティーブ・カーHCが 指揮官としてコートに戻れるのであれば、勝敗予想も変わるかもしれません。 それほど、カーの存在はウォリアーズにとって大きいと思っています。

2012年のファイナルでは、レブロンがヒート、デュラントはサンダーの一員として覇権を争った    キャブズのベンチって、デロン、コーバーだけでなく、イマン・シャンパート、 チャニング・フライ、デリック・ウィリアムズ、リチャード・ジェファーソンもいる んですね。となると、10人くらいでローテーションを回せますよね。  これは普通に考えても強いですよ。このメンツを怪物レブロンが操るん ですもんね。強いですよ。  しかも昨季覚醒したカイリーがいるわけですし。  レブロンからしたら、全員がパスのターゲットになってもおかしくはないですよね。  ちなみにファイナルMVPは誰でしょうか?  レブロンです。カイリーがチームトップの得点を記録したとしても、 選ばれるのはレブロンでしょう。  レブロンですね。仮に第7戦をカイリーのブザービーターでキャブズが 勝ったとしても、レブロンになると思います。

カイリーのスキルとシュート力、勝負強さは折り紙つき         レブロン・ジェームズのドライブを止められるかがカギ  僕は4勝3敗でキャブズ。なんですけど、ラブ次第かなと 思うんですよ。昨季、結局ラブだけちょっと置いてけぼりだったような気がする んです。第7戦の終盤、カリーに対してすばらしいディフェンスを見せては いましたけど、今年はどうなるのかな、って思います。あと、昨季はボーガットが いたから、キャブズの選手たちはペイント内にあまり入れなかったんです。 ボーガット不在の中、今季のウォリアーズはレブロンのドライブをどうやって 抑えるのかな、というのが気がかりですね。しかも、それを抑えようにも、 今季はアウトサイドに名3Pシューターのコーバーがいるんですよ。 ウォリアーズはどうするんだろう? って。ですので僕は、ラブのプレイと レブロンのドライブをどうやって止めるのか、という点に注目したいですね。 MVPはレブロンです。ほかに選択肢はありません。

昨季の借りを返すべく、カリーも初戦から全力で臨んでくるはず    確かに今季のウォリアーズには、(ボーガットのような)リム・プロテクターが いませんよね。  あとは、個人的にリアンドロ・バルボサ(現サンズ)がいない点も痛いです。 ベンチ陣をほとんど入れ替えたのは痛いと思います。イグダーラとリビング ストンが残ったとはいえ、厳しいと思います。デイビッド・ウエストがいるとは いえ、優勝経験があるわけでもないですので。  レブロンの場合は、デロンやコーバーに対して「俺と一緒にプレイして 優勝を目指してみないか?」とまるでスカウトしているみたいですよね。  レブロンの影響力はハンパないですよ。  レブロンが他チームに行ったら、一緒に移籍したいと思うスター選手が 沢山いるんじゃないか、と思うくらいです。そういうところも含めて、 今年はキャブズかなぁと思ってしまうんですよね。ラブとデュラントが どれだけそれぞれのチームに貢献できるか、がポイントですかね。     デュラントがいるだけで、ウォリアーズは大きく変わる  僕は4勝2敗でウォリアーズです。いや、1人忘れて いる選手がいます。デュラントです。彼が一番、無慈悲だと思うんですよ。 相手の戦略を跳び越えられる選手といったら、デュラントしかいないんじゃ ないでしょうか。確かに、キャブズにはレブロンがいますけど、ウォリアーズは カリーもクレイもいますし、その上デュラントは独力で得点できますし、クラッチ タイムでもボールを預けることのできる選手です。昨季のファイナル終盤を 見ていると、カリーがボールを持っていても手詰まりな場面がありました。 今季のウォリアーズはそこにデュラントが入って「おれがやるよ」と重責を 引き受けることのできる実力者がおり、そのサポーティングキャストとして カリーとクレイがいるんですよ。グリーンだってフリーなら十分決められます。 今季はデュラントがたった1人いるだけで、ウォリアーズの景色がガラッと 変わるのかな、って思います。

今季のウォリアーズには、リーグ最高級のスコアラー、デュラントがいることを忘れてはならない    3年連続でファイナルが同じカードというのは、退屈と見る向きもありますが、 何年か経った後に、「あの両チームの対決は楽しかった」と思えるんじゃ ないですかね。それこそ1980年代は、レイカーズとセルティックスばかりが ファイナルに進出していたくらいですので。  5名で行った座談会でしたが、見事に意見が分かれましたね。アメリカの 下馬評ではウォリアーズ優勢という意見が多い中、今回の予想では3対2で キャブズ優勢となりました。サポーティングキャストの質と量を上げた ディフェンディング・チャンピオンのキャブズが二連覇を果たすのか。 はたまた、デュラントが加入したウォリアーズが昨年の雪辱を果たし、 2年ぶりの優勝を決めるのか。日本時間の6月2日(金)から始まる今季の NBAファイナルは、間違いなく面白い展開になることでしょう。 なお、NBAファイナルはNBAリーグパスだけでなく、NHK-BSや WOWOW、DAZN(ダ・ゾーン)といった多くのツールから見ることが できますので、バスケファンは必見です。この期間を大いに楽しみましょう!!

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