<NBA座談会> NBA Finals 2017勝敗予想
<NBA座談会> Part.3 NBA Finals2017 勝敗予想 6月号から2号にわたって掲載しているNBA座談会。今回は、NBAファイナル開幕直前ということで、キャバリアーズ対ウォリアーズのファイナル勝敗予想を紹介します。 写真=石塚康隆 <座談会参加メンバー> A=本誌NBA担当。観戦歴は約22年。M=グリズリーズを中心としながらも、NBA全般の情報収集にもたけている。Y=NBAの知識が豊富。選手のクセや特徴を把握した発言で核心を突く。B=セルティックスへの愛情は相当なもの。他チームは対戦相手として頻繁にチェックD=自他共に認めるマブスファン。選手やコーチのコメントを読み取って説明するのがうまい。 ファイナルMVPはクレイ・トンプソンと予想 Y 僕の予想は4勝2敗でウォリアーズ。ファイナルMVP予想は クレイ・トンプソンです。将来的にも、カリーはファイナルMVPを獲らないような気が しています。もし去年、ウォリアーズが勝っていたら、ファイナルMVPはグリーンです よね。それが何かこう、今年もそんな感じじゃないかな、と思うんです。カリーが シューティングの時にふざけていることがあっても、(ボールを)置いておいて何か 別のことをしようとしていても、彼はひたすらシューティングしています。ウォリアー ズはまるでオールスターチームみたいなロスターなのに、『彼は真面目だなぁ』と いうのがありますので、クレイにMVPを獲ってほしいな、って思います。 B あのチームで一番ヤバそうなのはトンプソンですよね。 Y ゾーンに入った時は一番怖いですよ。ほかのチームに行ったら、絶対エースです もん。一番我慢しているんじゃないかな、と思います。 B 10何回かしかドリブルをしていないのに、60得点する男ですからね。 D 1Qに40得点しろ、と聞いて誰にベットするかと聞かれれば、 (カリーではなく)トンプソンですよね。 短時間に高確率なショットで大量得点を狙えるクレイ・トンプソン レブロン・ジェームズの勝利への執着心が勝る M 僕は4勝2敗でキャブズですね。間逆の予想になりますけど、 KD(ケビン・デュラント)がケガから戻ってきて、キャブズに勝てないんじゃないかな、 って思うんです。仮にクレイが当たっても、結局はKDがいることによって、チームでは なくなる気がするんですよね。今(4月6日現在)のウォリアーズってKDがいない分、 すごい“チーム”になっていますよね。今季のウォリアーズはリズムが取れていない 印象しかないので。あとは、追われた時のレブロン・ジェームズは、(昨季のように) とんでもないんじゃないかなって。チェイスダウン・ブロックのような勝利への 執着心というか、その貪欲さはキャブズのほうがすごいんじゃないかなって。 あとはサポーティングキャストですね。ウォリアーズでいえば、ショーン・リビ ングストンやアンドレ・イグダーラこそいますが、ハリソン・バーンズ(現マー ベリックス)、アンドリュー・ボーガット(現FA)が抜けたのは痛いと思います。 今のキャブズのベンチには、元オールスターのデロン・ウィリアムズやカイル・ コーバーもいますよね。 Y じゃあもしプレイオフでKDがケガしたらどうですか? M そうなったら、昨季と同じ流れになって、4勝3敗でキャブズになると思います。 押し切られると思います。デュラントがいなくなった分、マット・バーンズとかを 先発で起用することになるので、もっとベンチが薄くなると思うんです。 Y 昨季と違うのは、イグダーラがここ2年ほど下位ラウンドでディフェンスに 注力しなくて済んでいますよね。その分、ファイナルではレブロンに対して ディフェンスに専念できそうじゃないですか。 ゲームメイクもこなせる驚異の万能戦士レブロン。この男の存在がキャブズを特別なチームにしている サポーティングキャストの層を厚くしたキャブズ優勢か A 私も4勝2敗でキャブズです。それだけキャブズは強いと 思っています。この予想を覆すためには、デュラントがどれだけレブロンに 対して戦えるかです。デュラントには、2012年(当時ヒートに所属していた レブロン相手に1勝4敗で敗退)の借りを返すべく、ディフェンスなど細かい 部分でもレブロンを抑えることができないときついかな、と思っています。 それだけレブロンが持つ影響力はすごいんです。そして、それはカリーや トンプソンではできないことですし、それをグリーンがやるべきではないと 思っています。グリーンはほかのこと、それこそチームディフェンスの砦と なるべき選手ですので。さっきも話に出てきましたが、サポーティング キャストの話も含めますと、キャブズ優勢でしょう。昨季のコア(レブロン、 カイリー・アービング、ケビン・ラブ、トリスタン・トンプソンら)に、デロンや コーバーが加わったキャブズに対して、ウォリアーズはKD加入もあって、 コアを変えています。あとは、個人的にどうもマイク・ブラウン(ウォリアーズの アソシエイトHC)の判断力を信用できないんですよね。スティーブ・カーHCが 指揮官としてコートに戻れるのであれば、勝敗予想も変わるかもしれません。 それほど、カーの存在はウォリアーズにとって大きいと思っています。 2012年のファイナルでは、レブロンがヒート、デュラントはサンダーの一員として覇権を争った M キャブズのベンチって、デロン、コーバーだけでなく、イマン・シャンパート、 チャニング・フライ、デリック・ウィリアムズ、リチャード・ジェファーソンもいる んですね。となると、10人くらいでローテーションを回せますよね。 Y これは普通に考えても強いですよ。このメンツを怪物レブロンが操るん ですもんね。強いですよ。 A しかも昨季覚醒したカイリーがいるわけですし。 M レブロンからしたら、全員がパスのターゲットになってもおかしくはないですよね。 Y ちなみにファイナルMVPは誰でしょうか? M レブロンです。カイリーがチームトップの得点を記録したとしても、 選ばれるのはレブロンでしょう。 A レブロンですね。仮に第7戦をカイリーのブザービーターでキャブズが 勝ったとしても、レブロンになると思います。 カイリーのスキルとシュート力、勝負強さは折り紙つき レブロン・ジェームズのドライブを止められるかがカギ B 僕は4勝3敗でキャブズ。なんですけど、ラブ次第かなと 思うんですよ。昨季、結局ラブだけちょっと置いてけぼりだったような気がする んです。第7戦の終盤、カリーに対してすばらしいディフェンスを見せては いましたけど、今年はどうなるのかな、って思います。あと、昨季はボーガットが いたから、キャブズの選手たちはペイント内にあまり入れなかったんです。 ボーガット不在の中、今季のウォリアーズはレブロンのドライブをどうやって 抑えるのかな、というのが気がかりですね。しかも、それを抑えようにも、 今季はアウトサイドに名3Pシューターのコーバーがいるんですよ。 ウォリアーズはどうするんだろう? って。ですので僕は、ラブのプレイと レブロンのドライブをどうやって止めるのか、という点に注目したいですね。 MVPはレブロンです。ほかに選択肢はありません。 昨季の借りを返すべく、カリーも初戦から全力で臨んでくるはず M 確かに今季のウォリアーズには、(ボーガットのような)リム・プロテクターが いませんよね。 B あとは、個人的にリアンドロ・バルボサ(現サンズ)がいない点も痛いです。 ベンチ陣をほとんど入れ替えたのは痛いと思います。イグダーラとリビング ストンが残ったとはいえ、厳しいと思います。デイビッド・ウエストがいるとは いえ、優勝経験があるわけでもないですので。 A レブロンの場合は、デロンやコーバーに対して「俺と一緒にプレイして 優勝を目指してみないか?」とまるでスカウトしているみたいですよね。 Y レブロンの影響力はハンパないですよ。 B レブロンが他チームに行ったら、一緒に移籍したいと思うスター選手が 沢山いるんじゃないか、と思うくらいです。そういうところも含めて、 今年はキャブズかなぁと思ってしまうんですよね。ラブとデュラントが どれだけそれぞれのチームに貢献できるか、がポイントですかね。 デュラントがいるだけで、ウォリアーズは大きく変わる D 僕は4勝2敗でウォリアーズです。いや、1人忘れて いる選手がいます。デュラントです。彼が一番、無慈悲だと思うんですよ。 相手の戦略を跳び越えられる選手といったら、デュラントしかいないんじゃ ないでしょうか。確かに、キャブズにはレブロンがいますけど、ウォリアーズは カリーもクレイもいますし、その上デュラントは独力で得点できますし、クラッチ タイムでもボールを預けることのできる選手です。昨季のファイナル終盤を 見ていると、カリーがボールを持っていても手詰まりな場面がありました。 今季のウォリアーズはそこにデュラントが入って「おれがやるよ」と重責を 引き受けることのできる実力者がおり、そのサポーティングキャストとして カリーとクレイがいるんですよ。グリーンだってフリーなら十分決められます。 今季はデュラントがたった1人いるだけで、ウォリアーズの景色がガラッと 変わるのかな、って思います。 今季のウォリアーズには、リーグ最高級のスコアラー、デュラントがいることを忘れてはならない Y 3年連続でファイナルが同じカードというのは、退屈と見る向きもありますが、 何年か経った後に、「あの両チームの対決は楽しかった」と思えるんじゃ ないですかね。それこそ1980年代は、レイカーズとセルティックスばかりが ファイナルに進出していたくらいですので。 A 5名で行った座談会でしたが、見事に意見が分かれましたね。アメリカの 下馬評ではウォリアーズ優勢という意見が多い中、今回の予想では3対2で キャブズ優勢となりました。サポーティングキャストの質と量を上げた ディフェンディング・チャンピオンのキャブズが二連覇を果たすのか。 はたまた、デュラントが加入したウォリアーズが昨年の雪辱を果たし、 2年ぶりの優勝を決めるのか。日本時間の6月2日(金)から始まる今季の NBAファイナルは、間違いなく面白い展開になることでしょう。 なお、NBAファイナルはNBAリーグパスだけでなく、NHK-BSや WOWOW、DAZN(ダ・ゾーン)といった多くのツールから見ることが できますので、バスケファンは必見です。この期間を大いに楽しみましょう!!