月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2017.10.11

【B.STARS Vol.3-②】岸本隆一(琉球ゴールデンキングス)

チームを引っ張る琉球の“顔” 安定感を身に付け真のリーダーに!   琉球ゴールデンキングス#14/176cm/PG・SG/1990年5月17日生まれ/大東文化大  

北中城高時代     乗り越えるべき壁を見付け 再び生まれたやる気の火種    沖縄県北部の名護市出身で、豊かな自然の中で幼少期を過ごしてきた岸本。「小学校、中学校時代は好き勝手、やりたいようにバスケをしていました」と振り返るように、当時は全国区の選手ではなかった。だが、オフェンシブなことで知られる強豪・北中城高に進学し、その攻撃力に磨きをかけてメキメキと頭角を現す。県大会では1試合に83得点を稼いだこともあるほどで、高校界屈指のスコアラーとして知られるようになったのだ。    そんな高校時代、正確に言えば岸本が高校2年生のときに、沖縄の地に初めてのプロバスケットボールチーム『琉球ゴールデンキングス』が誕生した。bjリーグ参入1年目は西地区最下位だったが、その翌シーズンは接戦を制してなんと初優勝。“奇跡”とも評されたこの快進撃には、沖縄県民も沸きに沸き、当時、高校を卒業して新たなステージに向かおうとしていた岸本も、おのずと将来の琉球入りを思い描くようになった。そして大学時代もその思いは変わらず、大学4年生のシーズンを終えると迷わず地元に戻って夢にまで見た世界に足を踏み入れ、先述したように、次々と結果を残して実力を証明していったのである。    ところが、高校時代からの夢をかなえ、チームを優勝に導いた喜びは、その分反動も大きかった。当時の岸本は、「新人王を獲って、優勝して、プレイオフMVPも獲って…。言い方は悪いかもしれませんが、目指すものを見失いかけていました」とモチベーションの維持に難しさを感じるようになっていた。    だが、“幸運にも”と言えようか、このタイミングで岸本の前に大きな壁が立ちふさがる。それが2014年9月、リーグの垣根を越えてプレシーズンゲームを戦うことになったNBLのトヨタ東京(現A東京)だ。そこで琉球は2試合ともに敗北を喫し、岸本は「完敗です。競ったことを言い訳にせず、素直に点差以上の実力差があったと感じています」と悔しい表情で結果を重く受け止めていた。ただ同時に、「自分はまだまだだなと痛感しましたし、練習も足りない。チームの完成度もまだまだで、キングスはもっと強くなれると思いました」と、その瞳に光が宿ったのもこのとき。乗り越えるべき大きな壁を前にして、再び闘志に火がついたのだ。    それ以降、岸本は貪欲にチームや自分自身の成長を追い求めてきた。2014‐15シーズンはカンファレンスのセミファイナルで惜敗したものの、2015‐16シーズンには見事に王座奪還。bjリーグとしては最後となるファイナルで、有終の美を飾ったのだ。   (つづく)   ▼月刊バスケットボール編集部員が語る“岸本隆一”のここに注目!! https://sports.mb.softbank.jp/vod/player/14707?rc=cf_featured_basketball  

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